KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN|京都国際舞台芸術祭

2016年10月22日-11月13日

Feature(特集)

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  • INTERVIEW

インタビュー 糸井幸之介『アンデルセン童話集』(脚本・演出・音楽)

こどもとおとなの演劇祭 プレイ!パークで上演される『アンデルセン童話集』はこどももおとなも楽しめる音楽劇です。

この作品の脚本・演出・音楽を手掛けたのはFUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介さん、振付はイデビアン・クルー主宰の井手茂太さんが担当されました。 今回は糸井幸之介さんに『アンデルセン童話集』の制作にまつわるお話を伺いました。

── 糸井さんが作・演出・音楽を務められているカンパニー「FUKAIPRODUCE羽衣」では、オリジナル楽曲とユニークな歌詞による音楽とダンスによる独自の表現「妙―ジカル」で注目を集められています。今回上演いただく『アンデルセン童話集』は、『としまアート夏まつり』のプロジェクト「子どもに見せたい舞台」で2015年に初演された作品です。
糸井さんにとって、「子どもに見せたい舞台」とはどのようなものでしょうか?
また、「FUKAIPRODUCE羽衣」で制作される作品とはどのような違いがあるでしょうか?

普段から、ある一定の層に向けて、ターゲットを絞って作品を作るという感覚はなく、老若男女、できることなら子どもにだって見てもらいたいと思っています。なのでいつも、自分の作る作品は全て「子どもに見せたい舞台」なのかもしれません。
とは言ったものの、やはり、いつもの「FUKAIPRODUCE羽衣」の作品のように、エロかったり、諦観が強すぎたりしてはいけないと気をつけました。

子どもは大人ほど集中力が続かない面があると思ったので、賑やかなトーンを基本にしながら、緩急様々なリズムを付けるように心がけました。視覚的な情報をいつも以上に、強く、多くして、子どもたちの次から次に沸き起こる好奇心に対応したいと思いました。

── 公演時間が100分とわりと長いのに、子どもたちが最後まで夢中になって観てしまう魅力とはなんだろうと思っていました。あらゆる場面でリズムに合わせて、いろんな角度から好奇心が膨らみ続ける、なんだかドキドキ胸が踊りますね。音楽劇ならでは魅力というのもあるのでしょうか?

音楽は、理屈ではなくリズムに乗って体が勝手に動いたりしますし、順序立てた説明がなくてもイメージを一気に飛ばすこともできます。

頭で考えたり、心で思ったりするだけじゃなくて、体で感じることもできるというのは、音楽劇の魅力だと思います。

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Photo by Yota Kataoka

── 「FUKAIPRODUCE羽衣」での公演では、振付もカンパニーでされているかと思います。『アンデルセン童話集』ではその形を取らず、振付をイデビアン・クルー主宰の井手茂太さんが務められていますが、創作のプロセスはどのようなものでしたか?

俳優に振付をしていく井手さんを見ていると、大きな彫刻をすごい勢いで彫り続けているような感じがしました。高い集中力でインスピレーションを逃さず次から次に形にし、気がついたら全体像が浮かび上がってきて、ワクワクしました。

創作のプロセスは、歌詞や曲やオケを渡して、一応ちょっとしたイメージみたいなものを伝えたりもしましたが、基本的には井手さんの赴くままに作ってもらいました。

── 糸井さんご自身もつくっていく中でワクワクしていたのですね。井手茂太さんは本当にあらゆる人をたのしく振付してしまいます。糸井さんと井手さんお二人の手がけられた今回の作品、観る人すべての心をワクワクさせることは間違いなさそうです。

── 『アンデルセン童話集』では、たくさんあるお話の中から、5つの物語「はだかの王様」「人魚姫」「さやからとび出た五つのえんどう豆」「みにくいアヒルの子」「マッチ売りの少女」を選ばれています。アンデルセンの原作を作品に昇華されるにあたっては、どのような感想をお持ちでしょうか? また、なぜこの5つの物語を選ばれたのでしょうか?

たくさんあるアンデルセンのお話ですが、ざっくりと、冒険物、教訓物、少女物、風景描写物、等々いくつかの系統に分けることができます。その系統が偏らず尚且つ、自分の妙ージカルという一つのドラマを一曲にしていく方法にはまりそうなお話を選びました。
もちろん、単純に私が好きと思ったお話でもあります。

アンデルセンに惹かれた理由は、諦観と敬虔さの混じり具合が自分の作風にすごく合っていると思ったからです。でもそういった感じが色濃く出ているお話は、やっぱり大人っぽ過ぎるので、泣く泣く選外にしました。

── アンデルセンのお話は誰もが一度は耳にしたことがあるようなお話でとても親しみがわきます。それを系統で分けられていたとは驚きです。選ばれた5つの物語が糸井さんの手によってどんな風に表現され、どんなお話になるのかたのしみのひとつになりそうですね。

── 「プレイ!パーク」では、「自分の責任で自由に遊ぶ」を理念に世界中に実在する子どもの遊び場のコンセプトを援用し、子どもも大人も未知の演劇スタイルを体験することで、自ら未知の世界を切り拓いていくような場づくりを目指しています。2015年に『アンデルセン童話集』を初演された際は、子どもにとってはもちろん、大人にとってもさまざまな発見があり、とても密度の高い作品であるという感想を持ちました。今回再演されるにあたり、改めて取り組まれているようなことはありますか?今回の上演への意気込みを含めお聞かせください。

初演では、やはり興行として子どもたちを盛り上げたいと思っていたので、少し疎かというか後回しにしてしまったことに、アンデルセンの言葉の豊かさをしっかりと響かせるということがあります。

これはもう子ども向けだからどうこうということでは全くない、ちょっと崇高な目標ではありますが、せっかくの再演ですから、アンデルセンの言葉一つ一つを丁寧に響かせていきたいと思っています。

── 「アンデルセンの言葉の豊かさ」、お話を知っていてもそこに気がついている人はどのくらいいるものでしょうか。再演ではまたひと味違った『アンデルセン童話集』が生まれようとしています。

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Photo by Yota Kataoka

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