KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN|京都国際舞台芸術祭

2016年10月22日-11月13日

庭劇団ペニノ
『地獄谷温泉 無明ノ宿』
Theater|TOKYO, JAPAN 11/9−11/13

『地獄谷温泉 無明ノ宿』に寄せて

岡田利規(チェルフィッチュ主宰、演劇作家、小説家、岸田國士戯曲賞審査員)

タニノクロウ氏の『地獄谷温泉 無明ノ宿』は、読後、まるで風呂上がりのように、 身体がぼうっと火照っているかのようになりました。
反時代的であることが時代に対して最高にヴィヴィッドな力を持つのだ、というその最良の例のひとつです。 人物たちの秘められた思い、欲望が秘められたまましっとり、かつくっきりと描かれ、
それは技術的に見事だというだけでなく、実にセクシーでした。

野村政之(演劇制作者/ドラマトゥルク)

この作品の時間と回転するの箱のなかには、タニノ流の奇想的ファンタジーによって強化された、本州中部あたりの山間地の空気が封入されている。湯治宿の、ゆったりとした時間。観客は寛ぐかもしれない。開放的とは言いづらい何かがあることにも、同時に気づくだろう。のぼせた観客の心にそれがじわじわと、後から滲みてくるはずだ。
私は東京とハンブルクで本作を観た。印象は変わらない。ハンブルクの観客は熱狂していた。
本作においてタニノ氏は、奇想を新鮮に真空パックするその本領を、現代が忌避し棄却した空気を真空パックする作法へ進化させている。これはまた、人・モノ・情報を迅速かつ高精度に交換することが可能となった現在において尚、舞台芸術が可能にすることは何なのか、タニノ氏からの私達への1つの提案であるとも言える。
ともあれ観客は、ひとッ風呂浴びるつもりで、ただ空気を吸いに行けば良い。

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