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京都国際舞台芸術祭 2019

FEATURES:Essay

『変則のファンタジー_韓国版』を楽しむための用語集

©︎Namsan Arts Center
©︎Namsan Arts Center

これまでに韓国、台湾、日本(横浜)、インドで上演されてきたサイレン・チョン・ウニョンの『変則のファンタジー』。公演する土地の社会や、ジェンダー観が演出にも強く影響されるこの作品が、今回は一体どのようなパフォーマンスになるのでしょうか。上演会場は、三代目市川猿之助(現猿翁)の願いのもと、歌舞伎公演を想定してつくられた京都芸術劇場 春秋座。歌舞伎や宝塚だけでなく、あらゆる芸能の「様式」に惹かれるサイレン・チョン・ウニョンが、この劇場をどのように使うかも見どころです。
観劇前に、作品をより楽しむためのキーワードをいくつかご紹介します。


【ヨソン・グック(女性国劇)】
パンソリ、踊り、演技が一体になった韓国の音楽劇。日本の宝塚歌劇のように、男役も女役も全ての登場人物を女性が演じる。1940年代末の韓国で誕生し、50年代に大人気となった後、60年代に衰退の道を辿る。
サイレン・チョン・ウニョンは、2008年からヨソン・グックの俳優たちや当時のヨソン・グックファンのコミュニティと交流を始め、リサーチと作品創作を行なっている。
 
【パンソリ】
韓国の伝統芸能。唄い手(ソリックン)と鼓手(コス)に分かれて物語をつづる、楽譜のない口承文芸。18世紀頃から庶民の間で親しまれ、19世紀にかけて繁栄を迎えた。2003年にユネスコ世界無形遺産に登録。パンソリの「パン 판」は多くの人が集まる場所、「ソリ 소리」は音を意味する。ひとつの物語を全て演奏するにはかなりの時間がかかり、中には休憩なしで8時間かかるものもある。
 
【ゲイコーラス】
世界初のゲイコーラスグループは、1970年代末に誕生したアメリカのSan Francisco Gay Men’s Chorusだと言われている。日本のゲイコーラスは、1990年代前半に東京で活動が始まり、現在ではそのほかの地域でもゲイコーラスグループが活動する。今年の春には、アジア太平洋地域のセクシュアルマイノリティの合唱団が集まる音楽祭「Hand in Hand」が東京にて開催され、盛況を迎えた。(G_Voiceも出演!)

寄稿:森山至貴「ゲイコーラスグループとは何か?その意義とは?」
 
【G_Voice】
韓国唯一の(ほぼ)オープンリーゲイのコーラスグループ。韓国のゲイ人権団体「チングサイ(友達の間)」内の小さなサークルとして2003年に設立され、現在は30人超のメンバーで構成されており、歌を通してセルフエンパワメントを培うこと、LGBTQ+や他のマイノリティーの人権を提唱することを目的として活動している。カバー曲を歌うことが多いゲイコーラスの中でも積極的に自分たちのオリジナル曲を発表している、実力派コーラスグループである。

*京都芸術センターで開催中のグループ展『ケソン工業団地』内、イム・フンスンの映像作品「Brothers Peak」でも、彼らの歌声を聴くことができます。

***

KYOTO EXPERIMENTプログラムデレクター 橋本裕介のおすすめコメント

歌うこと、そして踊ることを通じて、理想の追求に飽くことなく、絶え間ない進化を続けるG_Voice。そしてサイレン・チョン・ウニョンが長年追ってきた「女性国劇」のドキュメントが織りなす本作『変則のファンタジー_韓国版』は、過ぎ行く時代の反映と、芸術と社会の絶え間ない変化が反響し合う、美しくそして歓びに溢れた舞台です。

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