KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 10年の記録とこれから
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46 ロラ・アリアス Lola Arias 作家、演出家、映像作家 KYOTO EXPERIMENTは私の⼈⽣を変える経験となりました。私は2013年と2018年に参加しました。その際、KYOTO EXPERIMENTは、⼈数が多い⼤きなチームであったにも関わらず、アルゼンチンとイギリスから芸術家たちを招聘するために、計り知れないほどの事務的、⾦銭的な⼯⾯を施してくださいました。 私が初めて参加した際は、⽼いと憂鬱を題材にした『憂鬱とデモ』という作品を、70歳以上のパフォーマーたちにより披露しました。上演後に観客の⽅から、⽇本社会においてタブー視されているうつ..について考える貴重な機会となったこと、その物語が主⼈公の⼀⼈称で語られたことに対して感謝の意を伝えられたことは⼤変印象に残っています。 2回⽬は『MINEFIELDー記憶の地雷原』というフォークランド(マルビナス)紛争を題材にした作品で、イギリスとアルゼンチンの退役軍⼈のチームを引き連れて参加しました。終演後のトークでは、第⼆次世界⼤戦中の⽇本において語られてこなかったストーリーについて考えるに⾄りました。2018年は、KYOTO EXPERIMENTが初めて⼥性アーティストのみによる作品を上演した年でもあったので、⽇本の才能豊かな⼥性アーティスト達と出会う素晴らしい機会をいただきました。 最後に、KYOTO EXPERIMENTは異なる⽂化圏をつなぐ架け橋をつくり、地元の観客に関わりのある問題を提起し、私たち来⽇アーティストと観客、そして地元のアーティストとの豊かな出会いの場を設けてくれました。KYOTO EXPERIMENTがなければ、遠く離れた⽇本をはるばる訪れ、刺激的な⽇本のアートと⼈々に出会い、芸術のみならず政治や社会に対する眼差しを取り交わすことはなかったと思います。 ブシュラ・ウィーズゲン Bouchra Ouizguen 振付家 KYOTO EXPERIMENTに招聘される初めてのモロッコのカンパニーとして⾏った京都での公演は、専⾨家として、また⼀⼈の⼈間としても、これまで⾏った公演ツアーの中で最も豊かな経験でした。作品のための会場選定、本芸術祭の組織体制、多様な観客との出会いは、これまで知り得た中で、最も興味深く芸術的な出来事の⼀つとなりました。 このフェスティバルが成⻑のための⽀援を受け、多彩な⽂化との架け橋を築き、あらゆる存在との連鎖を確⽴し続けていくことを切に希望しています。

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