公式プログラム

ウィリアム・ケントリッジ

冬の旅

Festival d’Aix-en-Provence 2014 ©P.Berger/artcomart.

深遠に共鳴する歌とドローイング
孤独な冬を歩く旅人の行方

『冬の旅』のメランコリックで凍てついた情景が、南アフリカの乾いた風景とオーヴァーラップし、恋に破れ放浪する男の孤独と絶望が、アパルトヘイト下の黒人労働者の苦難とリンクする。ヴィルヘルム・ミュラーによる24篇の詩が、時代の遠い隔たりを越え、現代に響きはじめる。
「動くドローイング」とも称される映像作品で知られる南アフリカ出身のアーティスト、ウィリアム・ケントリッジは、フランツ・シューベルト『冬の旅』と自身のあいだに本質的な共振を見出した。たとえば私的なものと普遍的なものの行き来、さすらい歩く人、風景へのまなざし、感情の結びつきのもろさ——この連作歌曲集に重ねられた映像のほとんどがすでに制作していた作品群から選び出されたということが、新たなモチーフを付け加える必要がないほどに、ケントリッジと『冬の旅』が互いを照射しあっていることの証左である。
 世界屈指のバリトン歌手マティアス・ゲルネの深い声と、ザルツブルグ音楽祭の芸術総監督としても手腕をふるうマルクス・ヒンターホイザーの明晰なピアノ、そしてケントリッジのドローイングの踊るような身体性。稀代のトリオがいざなう旅路に、観る者もまた自らの歩みを見出す。

Festival d’Aix-en-Provence 2014 ©P.Berger/artcomart. Festival d’Aix-en-Provence 2014 ©P.Berger/artcomart. Festival d’Aix-en-Provence 2014 ©P.Berger/artcomart. Festival d’Aix-en-Provence 2014 ©P.Berger/artcomart.
YEAR
2019
DATES
10.18(金)
VENUE
京都芸術劇場 春秋座
DURATION
78分
LANGUAGE
ドイツ語上演(字幕なし。日本語、英語訳配布)
CITY
ヨハネスブルグ、南アフリカ
CATEGORY
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当日パンフレット

ウィリアム・ケントリッジ
William Kentridge


1955年生まれ。ドローイング、映像、オペラ作品などで世界的に知られた美術家。南アフリカのヨハネスブルグ生まれ。独特な作風は、手法やジャンル横断および、植民地政策やアパルトヘイトをはじめとする母国南アフリカが置かれた社会政治的状況を、手法やジャンルを横断しながら視覚的な表現へと昇華することで生まれた。また、映像の歴史に言及するかのように、現在のCG映像の原点とも言えるコマ撮りアニメーションを用いる。ドローイングを部分的に描き直しながら、その変化を1コマ毎に撮影する、気の遠くなるような作業がケントリッジのアニメーションおよび映像作品を支えている。1990年代以降、世界中から大きな注目を集め、オペラ作品では、モーツァルト ≪魔笛≫(2005)、ショスタコーヴィチ ≪鼻≫(2010)、アルバン・ベルグ ≪ルル≫(2015)および ≪ヴォツェック≫(2017)を手がける。2010年京都賞、2019年第31回高松宮殿下記念世界文化賞受賞を受賞。

https://www.mariangoodman.com/artists/william-kentridge

マティアス・ゲルネ
Matthias Goerne


幅広い声の柔軟性を備えた才能ある声楽家のひとり。世界中のファンから称賛を集め、名高い音楽フェスティバルやコンサートホールの常連でもある。ワイマールに生まれ、ハンス=ヨアヒム・バイヤー、エリザベト・シュヴァルツコップ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウらに師事。世界を牽引するオーケストラ、指揮者、ピアニストたちとのコラボレーションを展開し、ニューヨークのメトロポリタン歌劇場やウィーン国立歌劇場をはじめ、世界有数のオペラハウスでの公演を行う。これまでにリリースした数々のCDは、4度にわたってグラミー賞にノミネートされる他、ICMAアワード、グラモフォン・アワード、Diapason d’oOr arteをはじめとする多くの権威ある賞を受賞している。2018年から2019年にかけてのシーズンには、ニューヨーク・フィルハーモニックでアーティスト・イン・レジデンスを経験。

http://www.matthiasgoerne.com

マルクス・ヒンターホイザー
Markus Hinterhäuser


イタリアのラ・スペツィア生まれ。ウィーン国立音楽大学およびザルツブルク・モーツァルテウム大学にてピアノを学ぶ。ソリストおよび室内楽のピアニストとして、カーネギーホール、ムジークフェライン、ウィーン・コンツェルトハウス、ミラノのスカラ座をはじめとする世界の名だたるコンサートホールで公演を行う。近年は、ルイジ・ノーノ、
カールハインツ・シュトックハウゼン、モートン・フェルドマン、リゲティ・ジェルジュらの現代音楽の解釈に力を注いでいる。ラジオやTV向けのレコーディングの他、アルノルト・シェーンベルクアルバン・ベルク、アントン・ヴェーベルンによるピアノ全作品集をCD化。また、クリストフ・マルターラー、ヨハン・シモンズ、クラウス=ミヒャエル・グリューバーといった演出家の演劇作品にも度々音楽を提供している。2014年から2016年までウィーン芸術週間の芸術監督を務め、2016年10月からは、ザルツブルク音楽祭の芸術監督に就任している。

https://www.salzburgerfestspiele.at/en/a/markus-hinterhaeuser

演出・映像ウィリアム・ケントリッジ
バリトンマティアス・ゲルネ
ピアノマルクス・ヒンターホイザー
舞台美術・装置ザビーネ・トイニッセン
衣裳グレタ・ゴアリス
照明ヘルマン・ソルゲロルース
映像編集スネジャナ・マーロヴィチ
映像オペレーターキム・ガニング
舞台監督サンドラ・ホフマン
技術・照明マネージャークリスチャン・ラクランプ
製作エクサンプロヴァンス音楽祭
共同製作ウィーン芸術週間、オランダ・フェスティバル、ヘレンハウゼン芸術祭(ハノーファー)、ニーダーザクセン音楽祭(ゲッティンゲン)、リンカーン・センター、ルクセンブルク市立劇場、リール歌劇場
助成文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
主催京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター、KYOTO EXPERIMENT