Interview

エリザベス・ルコンプト(ウースターグループ )へのインタビュー

Photo by Zbigniew Bzymek Photo by Zbigniew Bzymek

こちらはMETROPOLISで掲載された記事を引用致しました。
「METROPOLIS」 2018年10月9日掲載  文・ポール・マキネス

ニューヨークの著名な劇団ウースターグループが、論争を巻き起こした作品をKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2018で上演する。

演劇や舞台を勉強している人ならニューヨークの伝説の劇団、ウースターグループを知っているだろう。70年代の後半に設立され、アメリカだけではなく世界の最先端を走る実験的なパフォーマンスを行っている同劇団は、創設メンバーとしてウィレム・デフォーやスポルディング・グレイが在籍している。

ウースターグループの創設者であり高い影響力を持つディレクター、エリザベス・ルコンプトが劇団を率いて、KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2018に参加するために来日する。ウースターグループは、マルチメディアを駆使し、1971年に女性解放について開催されたディベートとそのディベートを収めたドキュメンタリー映画『タウン・ブラッディー・ホール』を基に再構築した『タウンホール事件』を上演する。

今では悪名高いこのディベートは、怒りっぽい悪人文学者ノーマン・メイラーがジャーメイン・グリアやジル・ジョンストン、ダイアナ・トリリング等のフェミニストと、ニューヨークのタウンホールでパネルディスカッションを繰り広げたものである。実際のディベートの映像を背後に、テキストや音響を加え、ER救急救命室などで有名なモーラ・ティアニーがカンパニーを率いて実在の参加者を演じる。『タウンホール事件』はマルチフォームの実験的な力作であることは間違いなく、3回の上演は必見だ。

メトロポリスは、ディレクターのエリザベス・ルコンプトにメールインタビューを行い、『タウンホール事件』について、そして#MeTooムーブメントの中でフェミニストに関する同作を上演することに対して話を聞いた。


メトロポリス(以下M):タウンホール事件は論争を起こした作品です。男性vs女性、メイラーのマッチョイズムvsグリアとジョンストンのフェミニズムとレズビアニズム。このような作品をトランプ政権と#MeTooムーブメントの流れがある今の時代に上演するのはふさわしいように思います。おそらく70年代から少し変わったことがあると思いますが、このような流れがあり上演を決めたのですか?

エリザベス・ルコンプト(以下EL):タウンホール事件が今の時代にふさわしいということを聞けてうれしいですが、実は#MeTooムーブメントが起こる前から私たちはこの作品に取りかかっていました。モーラ・ティアニーがドキュメンタリー映画『タウン・ブラッディー・ホール』を私のところに持ちこみ、彼女がこの映画で何かをしたいということに、私は興味を持ったのです。私はすべての演劇作品において、制作に取りかかる前に、作品の素材に対して先入観を一旦脇に置きます。
70年代から何が変わったのかという質問についてですが、そうですね、変わったものもありますが、変わらなかったものもあります。私は今、何が起こっているかということに対して、とても関心があります。この作品は何が私たちの観客を変えたのか問いかけるものになっていると思うし、彼らからどんな返答があるのか気になっています。

M:1971年に開催された3時間半におよぶパネルディスカッションの要素を、1時間の作品に短縮するのは難しかったですか?

EL:私はとても早く編集の決定をしました。私たちはヨーロッパでの仕事のため、作品を仕上げる締切に追われていました。どの部分を作品に取り入れたいかはすぐにわかっていて、ジル・ジョンストンの執筆を作品の骨組みに取り入れたいと思いました。すべてのパネリストの中で、彼女が一番広範囲にわたって自身とディベートを結び付けて書いていたからです。彼女はいったいそこで何をしているのか、そしてディベートを崩壊させるという彼女の計画は成功しているのか、失敗しているのかということについて葛藤していました。

M:日本の観客はこの作品にどのような反応をすると思いますか?また、役者として、世界中で上演をして異なる反応に立ち会うことは重要ですか?

EL:私は観客の反応を予想したことはありません。いつもどんな反応があるか楽しみです。私はすべての公演を見ているのですが、それぞれの観客の反応はとても明確です。そして『タウンホール事件』では、劇場にいる観客は、もう1つの観客、1971年にタウンホールにいた元の観衆を体験します。元の観衆はこの作品においてとても重要な存在です。私たちは『ブラッディ・タウン・ホール』の音声を使い、元の観衆と今の観客の間にスリルを生み出します。

M:あるインタビューで「誰も資金をくれない。私たちは投資できるような芸術作品は作らない。私たちは政治的であり、ある意味ではそれが問題である。」と語っていますが、実験的や先鋭的であったりする劇団を作ることは今の時代では難しいですか?そして、あなたはこのような答えがないパフォーマンスを楽しんでいますか?

EL:長期間コラボレーションするためのグループを支援することはますます難しくなっています。支援者の関心は変化しており、彼らは活動しているグループに直接支援していましたが、今は個々の作品を援助しています。つまりグループをまとめるためには、同時にいくつかの作品を進めなければいけないということです。以前はツアーを回っている間に1つの作品に対して2年をかけて作ることができていましたが、今は2つの新しい作品をツアーと同時に作っています。大変ですが、楽しんでいます。

M:タウンホール事件では、映画、テレビ、そして複数の音声や登場人物(メイラーが複数のモニターに映っているときは2人の役者がメイラーを演じている)を使っていますが、それには何か理由があるのですか?

EL:理由は1つだけではなく、私が好きなことをやります。また、私の演出案はそれが現実的であるかどうかを考えるところから始めることが多いです。メイラーを2人登場させる場合に関しては、解決しなければいけない問題があったからです。私たちが制作を始めたとき、2人の主要な役者アリ・フライコスとスコッド・シェファードが出演できるかどうか明らかではありませんでした。(彼らは劇団の外で働いていることがあるため)そのための保険として2人を1つの役にあてました。私はこのダブルキャストをとても気に入り、2人にメイラーを演じてもらうことにしました。そして、私たちが作品の中で再構築したシーンのひとつである乱闘シーンをメイラーの『メイドストーン』という映画の中で見つけたとき、文字通りメイラー同士がレスリングをしたら面白いだろうと思ったのです。

M:日本について聞きます。日本に行ったことはありますか?日本についてのイメージがあれば教えてください。そして、日本のファンにメッセージをお願いします。

EL:幸運なことに1986年に日本を訪れることができ、歌舞伎を見に行きました。何年か経って再来日した時には芸人の劇団の公演を見ました。最近では2015年に、新井知行氏のサウンドライブトーキョーでウースターグループが『初期シェーカー聖歌』を上演しました。また日本で作品を上演できることにワクワクしています。

 

ARCHIVE

  • Photo by Yoshikazu Inoue

    ウースターグループ

    『タウンホール事件
    クリス・ヘジダスとD・A・ペネベイカーによる映画『タウン・ブラッディ・ホール』に基づく

  • Photo by Steve Gunther

    パネルディスカッション「about The Wooster Group」

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  • トークセッション「わざにまつわるダイアローグ」【1-3】

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