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フリンジ「オープンエントリー作品」から「More Experiments」へ変更のお知らせ
2020.12.15

KYOTO EXPERIMENT京都国際舞台芸術祭では2013年から2019年まで、フリンジ「オープンエントリー作品」として多くのアーティスト・団体により京都府内で発表される作品を紹介してきました。フェスティバル期間により多くのイベントを同時多発的に紹介することで、街全体での盛り上がりを共に創出してきたことと存じます。
KYOTO EXPERIMENT 2021 SPRINGからは、3名の共同ディレクター体制となり、フェスティバルの新しい展開を作っていきます。京都において文化芸術の新たな局面を作っていくにあたり、フリンジのあり方に関してもさまざまな角度から検討した結果、従来KYOTO EXPERIMENTで行ってきたフリンジプログラムについては休止とし、京都で作品を発表されるアーティスト・団体のみなさまとの新たな形での協働を提案させていただくことになりました。
この判断に至るいくつかの理由をお伝えします。ひとつは、フェスティバルにおける「フリンジ」は、公式に対する非公式、中央に対する周辺を意味しており、フェスティバルのメインプログラムを取り巻いて行われるさまざまなイベントを指すということです。これからのKYOTO EXPERIMENTでは、さまざまな面においてこうした二項対立的な図式を解体し問い直すことで、フェスティバルと観客、参加していただくアーティスト・団体のみなさまとの新たな関係性を築いていきたいと考えています。そのひとつの試みとして、メインプログラムとフリンジ、という図式を一度脱して、フェスティバル期間中に京都で発表される作品の紹介を新しい形で行うことが必要ではないかと考えました。
また、もうひとつは、KYOTO EXPERIMENTにおけるフリンジ「オープンエントリー作品」は、フェスティバル主導のプログラムとして展開してきましたが、他フェスティバルの事例に見ることができる本来の「フリンジ」は、フェスティバル主導ではなく独自に外部で行われ発展してきたものであることです。フェスティバルとフリンジ、それぞれの独立した力学がお互いに影響しつつ展開していくとともに、そこにはある種の健全な反骨的、反権威的な思想もあるのではないでしょうか。そうした思想に支えられる文化基盤は、変化する状況に耐え、しなやかで持続的な強度を持ち得るものだと考えます。
KYOTO EXPERIMENTは時代をあらわすようなアーティストと作品を多角に紹介するとともに、観客とアーティストがその刺激を共有する過程で、自律性を担保した新たな「(野生の?)フリンジ」が自ら発生するようなフェスティバルでありたいと考えています。
以上を踏まえて、KYOTO EXPERIMENT では、フェスティバル期間中に京都府下で行われる公演情報を「More Experiments」の名のもと京都文化芸術オフィシャルサイトKyoto Art Boxに集約・掲載させていただくことを計画しています。この「More Experiments」へは、KYOTO EXPERIMENTウェブサイトからもアクセスできるよう設計しています。
「More Experiments」という名称には、KYOTO EXPERIMENTだけがその時期に発表される表現ではなく、もっとさまざまな表現の実験が京都各所で展開されているイメージを込めました。こうした形でフェスティバル期間中に京都で発表される作品を紹介することで、新しい関係性の中で京都の文化芸術をともに盛り上げていけることを願っています。さまざまな面で活動に困難が伴う現状ではあると思いますが、ぜひこれからも、京都での表現活動を行うみなさまと一緒に歩んでいければ幸いです。