2022
10.1
-
10.2
パフォーマンス
magazine
2022.9.29
KYOTO EXPERIMENT 2022のオープニングの演目の一つ、フロレンティナ・ホルツィンガー『TANZ(タンツ)』上演に向けて、作品のレビューを一部ご紹介します!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
近年、欧州のダンスおよびパフォーマンス界で一躍スターとなったフロレンティナ・ホルツィンガー(36歳)の作品の中心にある不快感は、パフォーマー、そして観客の限界を押し広げる。ホルツィンガーの身体的極限への関心は、自身のダンサーとしてのトレーニングに根差しており、裸体の女性パフォーマーによる大規模なキャスティング、演技を通じたアートとジェンダーにまつわる高尚なアイディアの追及、ときには体液を用い、品位の境界線を全壊する作品性が高い評価を得ている。
オランダの振付家、ヴィンセント・リービーク氏と衝撃的なコラボレーションを重ねたホンルツィンガーは、その後「生きたバレエ体験」、「バレリーナの女性性を過度に演じる」と彼女自身が描写する作品『Apollon』に始まり、女性のみのアンサンブルによる、より精巧な作品の創作に注力している。『Apollon』は広く評価され、国際ツアーを果たした。『Apollon』ならびにそれに続く2019年の作品『TANZ』では、ホルツィンガーがよく「拷問道具」と呼ぶ、ダンサーたちの足を変形させ、血みどろにするバレエシューズをはじめとし、ダンサーたちが体験する苦しみ、そして剣を飲み込んだり、身体を宙吊りにするボディサスペンション・ショーなどの暴力性の舞台化が共通して取り入れられている。
作品の極限的な要素が引き金となって、観客がよくパフォーマンスの最中に退場することを、ホルツィンガーは受け入れていると話す。「抽象的なポストモダンダンスの夕べを私に期待して来場された方がいらしたら、私はその方々が退場する決断を完全に尊重します」と語る。「観客のうち10人が残り、よかったと感じてもらえる方を望むのです」
出典元:The New York Times