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松本奈々子、西本健吾/チーム・チープロ「女人四股ダンスのためのメモ」
2022.10.9
10/8-10に『女人四股ダンス』を上演する松本奈々子、西本健吾/チーム・チープロの「女人四股ダンスのためのメモ」を掲載しました。
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東京 オフィスビルのなかのスタジオ
5/11 松本
かなしいやつをふわふわにつつんで両手に持って決めた道をいくしかないとおきあがりおしりをふりにいった。おしりのにくはぶるぶるふるえた。
ふるえるのはきもちがいいとおもった。
東京 自宅
6/13 松本
マイナンバーカードを受け取りに行った。本人確認のための顔を見せるために2回マスクを顎におろした。わたしの顔を見てもおじさんにもおばさんにもわたしがいまお腹が痛いことはわからないでしょう。それはいいんですが、放っておいてもらっていいんですが、商店のあいだをあるいているとまわりよりわずかに暖かい体温を皮膚のうえにまとっている感触がして、すべてnumbに感じる。numbとは英語で無感覚や麻痺という意味ですが、歯がなくても発音できる音のつらなりのほうがこの状態をいいえている気がするのでなむということにしている。逆方向の電車に乗り多摩川の土手についた。草や水やタバコのかす、いろんなものが揺れていた。土手はまぶしかったのでまもなくかえった。それからはただ家でお仕事をしてじぃっとしているだけなのに、さきほどからしたばらにのっぺりと吸い付く黒黒とした痛みをいちにちじゅうひきずっている。あと8キロくらいある。
ドイツ カッセルのホテル 雨
8/5 前田
月経のことはふと思い出して 月経の存在を確かめる感じで
ああー、この日も痛いんやなーとか。
月経日記を読むことで、日常に月経がやっと入ってくる。
ずらっと並んだ7月の日記をみてゾワっとしました。
日記という性質もありますよね。
大阪・京都
8/25 内田
今日の夢は、イオンみたいな所の舞台の上で友人たちが単調なステップを延々踏み続け、そのなかのひとりはカンパニーという演目のミュージカルソングを唄いあげていた。
目が覚めても覚めても眠い。体を起こす気には毛頭なれないし、横に寝返るのだってだるい。手探りでスマホの在りかを探し、いまの時間を確認しようとするが、目があかない。時間をかけて、徐々に体を覚ましていく。ぼんやりとパンツの中を思い、早くナプキンを新調したいと願う。重い体を引きずって、とにかくトイレに向かう。今回はいつもより固まりがおおく量が少ない。目がきちんと覚めてくるとだんだん肩が軽くなった。そういえば昨日の帰り道意味もなく、私はとんでもないダメ人間なんじゃないかなんて思ったりしたけど、これも多分生理のせいだ。肩が軽くなったら、何がそんなにダメだと思ったのかが分からなくなった。
芸センでの稽古初日。今日は四股もたくさん踏んだ。股を開いて地を踏む動きとともに、たまに出る感覚がある。子宮の形、卵巣の場所がいつもより感覚しやすい。子宮をこねる動きをしていたら、生理痛に苦しめられていることに対して、復讐心がわいてきた。