ノイズ・ミュージックさがしてー超洛外でのフィールドレコーディング/異世界への綻び(ほころび)
Kansai Studies は、フェスティバルが根ざす関西圏を対象としたリサーチプログラム。アーティストが行うフィールドワークを通して、身近な地域が内包するカルチャーや歴史、価値に光を当て、これからの実験的な表現の創作基盤としていくものだ。2025年度はリサーチャーにサウンドコンシェルジュのおおしまたくろうを迎える。
身近な道具を改変した楽器でパフォーマンスを行うおおしまは、音楽の名を借りたユーモアによって社会をマッサージすることを企むアーティストだ。今回は、ノイズ・ミュージックという言葉のもつ矛盾した響きに着目して、ノイズ混じりな人間のあり様を調査する。動物や人工物にとっての京都を「超洛外」と名づけ、彼らの視点を借りるための自作の音響装置を用いて超音波や電磁波のフィールドレコーディングを行い、“異世界との裂け目から漏れ出る綻びの音”を採集する。
フィールドワークの様子はnoteにて順次公開中。また、リサーチの活動報告としての展示とイベントを、フェスティバル会期中に京都芸術センターで開催する。
アーティストプロフィール
おおしまたくろう
京都(日本)
情報科学芸術大学院大学[IAMAS]メディア表現研究科修了。音の実験ワークショップ「SOUNDやろうぜ」主宰。PLAY A DAYをモットーに、身近な道具を改変した楽器の制作とそれらを組み合わせた少し不思議な音楽活動を行う。音楽の名を借りたユーモアにより社会をマッサージする。近作にスケートボードとエレキギターを合体させて街のカタチを演走する《滑琴(かっきん)》、作家の耳を模したサウンドボックスを実家に送り母親の耳かき音をライブ配信する『帰省されるイヤー』、耳型マイクを身につけた2人の奏者の動きを作曲する《擬似耳人(ぎじじじん)》など。2017年『PLAY A DAY』で学生CGコンテスト・アート部門の優秀賞を受賞。2024年『滑琴狂走曲 in 秋田!カッキンラプソディー・イン・アキタ』でやまなしメディア芸術アワードの優秀賞を受賞。