2022.11.28
演劇
スクリーンに映されたドラマ。
これは、映画か演劇か?
どちらも劇場で体験される芸術なのに、交わることのない「演劇」と「映画」。一般に、前者はライブで演じられ、後者は映像を再生する。そんなふたつの邂逅を目撃できるのが、『再生数』だ。
本作を手がけるのは、今注目のコレクティブ「スペースノットブランク」と、岸田國士戯曲賞受賞作家でもある気鋭の劇作家・松原俊太郎。小野彩加と中澤陽からなるスペースノットブランクは、舞台芸術の新たな思考や手法を探究しながら、固有の環境や関係により生じるコミュニケーションを創作の根源として活動してきた。松原とは2019年より継続的に協働しており、4度目となる本作では、なんと、演劇の上演と映画の上映をリアルタイムで表現していくという。8人の出演者のうち、2人が担うのはカメラの役割。残る6人が演じる松原作のドラマを、舞台上のスクリーンに映し出されたカメラの視点を通して「映画」として鑑賞する。演劇と映画を同時に鑑賞するような二重の体験が待ち受けているのだ。
言葉、サスペンス、切実さ、軽快さ……さまざまな意味と印象がコラージュされた松原の戯曲と、スペースノットブランクの演出によりスピード感をもって解体されていく空間と身体--。舞台上に巻き起こるドラマと再生成されていく演劇と映画の関係は、いかに結実するのか。その協働が行き着いた新たな境地に、頭痛がするくらいどっぷり浸かりたい。
<あらすじ>
————あーー! 何回死ねばいいの?
もし、死んじゃっても、必ずわたしのいるところに、来て————
何度も殺されるフフと、何度も助けるミチコのふたりは小さなループを作り、生活していた。ある日、そんなふたりのルームに映画を撮りたい男たちがやってきたことでループは歪む。撮影が開始されたルーム内で、生きているひと、死んでも死なないひと、もう死んだひとらがガチガチにぶつかりあい、生まれてくるのは『タイタニック』を超える感動巨編? 泣く子しかいないホラームービー? ちっぽけな現実の焼き直し? 生と死とそのあいだでぶつかっては鳴る、この音を聞いてください。
10.1 (土) 14:30 / 19:00
10.2 (日) 14:30 ★♡
★ポスト・パフォーマンス・トーク
♡託児あり
上演時間:120分
言語:日本語(英語字幕あり)
スペースノットブランク
東京
二人組の舞台作家の小野彩加と中澤陽が舞台芸術の創作を行なうコレクティブとして2012年に設立。舞台芸術の既成概念に捉われず、独自の新しい仕組みを研究開発しながら舞台芸術の在り⽅と価値を探究している。固有の環境や関係により生じるコミュニケーションを創作の根源とし、作品ごとに異なるアーティストとのコラボレーションを積極的に行なっている。せんがわ劇場演劇コンクール・グランプリ受賞(2017)。下北ウェーブ選出(2018)。ロームシアター京都×京都芸術センターU35創造支援プログラム“KIPPU”選出(2020)。金沢21世紀美術館芸術交流共催事業 アンド21選出(2021)。
小野彩加(おの・あやか)
舞台作家。1991年生まれ。2016年から2019年まで多田淳之介率いる〈キラリふじみ・リージョナルカンパニーACT-F〉に参加。ダンサー、パフォーマーとして、白神ももこ『絵のない絵本』、黒沢美香『6:30 AM』、浅井信好『はてしない物語』、かえるP『スーパースーハー』、三野新『アフターフィルム』、ピチェ・クランチェン『MI(X)G』、山崎広太『ダンス・スプリント』『ダンステレポーテーション』、ひとごと。『花をそだてるように、ほんとうをそだてています。』『はなれながら、そだってく。』、ClariS『ClariS 1st 武道館コンサート 〜2つの仮面と失われた太陽〜』『ClariS 3rd HALL CONCERT in 舞浜アンフィシアター ♪over the rainbow 〜虹の彼方に〜♬』などの作品に参加している。利賀演劇人コンクール 優秀演出家賞二席受賞(2019)。KYOTO CHOREOGRAPHY AWARDファイナリスト(2021)。
中澤陽(なかざわ・あきら)
舞台作家。1992年生まれ。映像作家として、室伏鴻のアーカイブ映像の制作、中村蓉『リバーサイドホテル』『顔』などの作品に参加。パフォーマーとして、fabien prioville dance company『The SOMA Project』、藤田貴大『A-S』、ゆうめい『フェス』『〆』、三野新『アフターフィルム』、ヌトミック『ワナビーエンド』、福井裕孝『デスクトップ・シアター』、ウンゲツィーファ『ロイコクロリディウム』『Uber Boyz』、バストリオ『一匹のモンタージュ』などの作品に参加している。利賀演劇人コンクール 優秀演出家賞二席受賞(2019)。KYOTO CHOREOGRAPHY AWARDファイナリスト(2021)。2022年度セゾン文化財団セゾン・フェローⅠ。
松原俊太郎(まつばら・しゅんたろう)
劇作家。1988年、熊本生まれ、京都在住。神戸大学経済学部卒。処女戯曲『みちゆき』(2015)が第15回 AAF戯曲賞大賞を受賞。戯曲『山山』(2018)が第63回岸田國士戯曲賞を受賞。小説『ほんとうのこといって』を「群像」(講談社)2020年4月号に寄稿。主な作品として『正面に気をつけろ』、『光の中のアリス』、『イヌに捧ぐ』など。2022年度セゾン文化財団セゾン・フェローⅠ。
作:松原俊太郎
出演:荒木知佳、古賀友樹、鈴鹿通儀、鶴田理紗、奈良悠加、油井文寧
出演(カメラ):新藤早代、日景明夫
カメラアシスタント:加藤菜々子、清水花菜
演出:小野彩加、中澤陽
音響:櫻内憧海
音響協力:河合宣彦
照明:中山奈美
照明協力:魚森理恵、塩見結莉耶、松宮透、溝渕功、(株)カンパーナ、今村達紀、柳原良平、瀬戸沙門、宮崎彩
映像:小西小多郎
字幕オペレーター:棟光里
美術:カミイケタクヤ
美術協力:井上和也、野村眞人
舞台監督:河井朗
舞台協力:蒼乃まを、小野流空、黒田健太
リハーサル・ディレクター:山口静
グラフィックデザイン:趙文欣
字幕翻訳:ジェレミー・クールズ
保存記録:植村朔也
制作:花井瑠奈
衣裳協力:須田美保子
機材協力:株式会社タケナカ
協力:プリッシマ、白昼夢、私は少し静かにしてるね、青年団、お布団、ルサンチカ、東京はるかに
製作:スペースノットブランク
共同製作:KYOTO EXPERIMENT
助成:芸術文化振興基金、公益財団法人セゾン文化財団、一般財団法人狛江市文化振興事業団文化芸術活動支援事業
主催:スペースノットブランク、KYOTO EXPERIMENT
KYOTO EXPERIMENT スタッフ
テクニカルディレクター:夏目雅也
制作:枡谷雄一郎(ロームシアター京都)