KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN|京都国際舞台芸術祭

2016年10月22日-11月13日

ルイス・ガレー
『El lugar imposible(不可能な場所)』
Dance|BUENOS AIRES, ARGENTINA 新作|世界初演 10/28−10/30

インタビュー

ルイス・ガレー

なぜ、日本なのか?

 日本にはなんとも説明しがたい虚無的なところがあり、そのことにとても関心がある。日本の精神性は広く複雑でとても興味深く、西洋の考え方とは明らかに異なっている。西洋だけでなく、他のアジア諸国とも大きく異なっている。こうした日本の特徴は、私が作品を通して考えていること(精神性、時空、言語、想像力、知覚)と呼応しているのだ。

日本でのプロジェクトについて

 最近は、「インスタレーション」というよりむしろ、「アンビエンス(環境)」という概念に関心を持っている。ブラジル人理論家であるエレナ・カッツとクリスチーネ・グライナーは、人を取り囲む周辺環境と私たちの相互依存性に関して、興味深い問題提起をしている。誰一人として文脈と無縁な人はおらず、その逆もまた然りだと言うのだ。そして、文化と生物学との切っても切れない関係について、新しい言葉や概念を見出そうとしている。私の最新作では(当初の作品も、観客が着席して正面の舞台を見ているという以外は、似たようなことを考えていたが)、アンビエンスを作り出し、見る者の身体がそのアンビエンスに出会うことでダンス鑑賞として成立する試みをしている。
今回、日本で発表する作品も同じ趣きを持っているが、そこには、私がこの滞在中に発見したり関心を持ったりした要素やヒントが反映されている。
 さらに、本作が過去の作品と異なるのは、日本人パフォーマーたちとのコラボレーションだという点である。コラボレーションのプロセスは、いまだかつてないほどリアルで、かけがえのない体験となっている。ディスカッションやリーディングを通して、お互いの考えを理解し合うのに多くの時間を費やしてきた。こうした「交流」こそ、フェスティバルの醍醐味だろうと思う。(本作に加え、過去の2作品においても)地元パフォーマーとのコラボレーションは、「売れる作品」の誘惑にとらわれない試みでもある。

それまでの、稽古・作り直し・初演・巡回という制作パターンを考え直してみたかったのだ。だからと言って、ブエノスアイレスに戻った後も、カンパニーのダンサーたちとの新作を発表しないという訳ではない。今は、異なる土地で見聞したことに自分を開示し、その場所との深遠で有意義な関係を見出す方法として、地元コミュニティとのコラボレーションを模索する時期なのだ。
 自分は変わることができるか? 自らを修正/適合することは? 同じことを別の言い方で言うことはできるか? 他者とは誰なのか? 私の言うことはどう理解されているのか? 私たちは何を考えているのか? どうやってその考えを共有したいと思うのか? 誰かと同じ時を過ごすというのはどういうことなのか?
 これらの問いはすべて、本作の制作プロセスにおいて、とても重要な要素だった。最も重要だったと言えるかもしれない。

“el lugar imposible”とは、どのような場所なのか?

 具体的な場所というより、隙間のようなものだと思う。見る人が、自分の精神や身体を満たすことのできる場所、という考え方である。目指したのは主に「どこ」や「誰」という認識を疑うこと。最近では、哲学者マルクス・シュタインヴェクの、「あなた(you)」と「あなた自身(yourself)」との隔たりについての概念に深く影響を受けている。

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