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新ディレクター体制のお知らせ
2025.4.30

KYOTO EXPERIMENTは、2025年度より新たなディレクター体制となることをお知らせします。KYOTO EXPERIMENTのプログラム・ディレクター任期は、1期を5年間とし、以降最大10年まで延長が可能です。2020〜2024年度までの5年間は、川崎陽子、塚原悠也、ジュリエット・礼子・ナップによる3名のコレクティブ体制をとってきました。この度、ナップは1期5年間の任期を終えて退任し、2025年度からは川崎と塚原が共同アーティスティック・ディレクターとしてプログラミングを行う体制になります。これまでに構築してきた、国内でも類を見ない先駆的な舞台芸術祭としての特徴を活かし、今後も本芸術祭の発展に努めてまいります。
KYOTO EXPERIMENT 2025の全プログラム発表は7月下旬を予定しています。
これからのKYOTO EXPERIMENTにどうぞご期待ください!
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共同ディレクターチームとして、KYOTO EXPERIMENTのような、国際的で現代的表現を扱う舞台芸術のフェスティバルがこの時代に開催されることの意義を問い続けてきたこの5年間、そして、体制の変化と共に、これから6年目に入ろうとしています。閉鎖的でナショナリスティックな傾向が強まっていく世界において、舞台芸術を通した国際交流を途切れさせず継続すること、二項対立的かつ単純でわかりやすい価値観がものごとを規定しがちななかで、複眼的な視点を持つ現代の舞台芸術表現を通して、複雑性や流動性を提案していくこと、これらの表現を、単純化せずに複雑なまま観客に提示することで生まれるであろう対話…KYOTO EXPERIMENTは、実験的な遊びと共にこのようなことを思考できる場であることを目指してきました。そのなかで発見したことは、このフェスティバルがさまざまな失敗、生成の過程、結論の出ない議論を内包するプラットフォームとしても機能してきたということです。これらの失敗や生成、議論が、何かと何かのあいだにあるもの、違和感や不透明なものとの出会いを生み出し、いまを生きる手がかり、そしてこれからを想像することにつながっているのではないでしょうか。
2025年のKYOTO EXPERIMENTでは、これまでの継続性のなかから、違和感や不確定性にこそ魅力を見出していくようなプログラムを準備しています。ぜひ、7月のプログラム発表まで楽しみにお待ちいただければ幸いです。
また、このフェスティバルを次へとつなげていくための、次代のクリエイター育成事業を開始しています。今後のKYOTO EXPERIMENTの展開にも、どうぞご注目ください。
KYOTO EXPERIMENT 共同アーティスティック・ディレクター
川崎陽子 塚原悠也
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KYOTO EXPERIMENTの共同ディレクターを2020年から2024年まで、川崎陽子さんと塚原悠也さんとともに、務めさせていただいたことは大変光栄でした。10年間の歴史を持ったKYOTO EXPERIMENTを引き継いだ私たちは、その歴史を踏まえて、この5年間でフェスティバルをさらに先鋭的で、革新的、かつ境界線を押し広げる、実験的な表現の場に近づけることができたのではないかと思っています。
私たちは(そしてフェスティバルは今も)多くの課題に直面しました。その中には、新型コロナウイルス感染症拡大の余波、京都市の行財政改革の影響、円安などがあり、フェスティバルの財政は苦しい状況が続いています。今の経済・政治環境の中で実験的な舞台芸術祭を作ることは非常にチャレンジングなことであり、フェスティバルを作り上げる一人一人のサポートなしには不可能なことです。みなさんとともに問いかけ、また考えた様々な質問、創造した作品、空間、体験、そして実現した交流や出会いをとても誇りに思っています。
退任することは寂しいですが、自分自身の新たな章が始まるのを楽しみにしています。また、関わるスタッフのみなさんにこのフェスティバルを託せることを嬉しく思っています。この5年間は、私にとって本当に豊かな経験であり、KYOTO EXPERIMENT、そしてアーティスト、観客、スタッフの皆様から、多くのことを学ばせていただきました。フェスティバルの実現に貢献してくださった皆様に、心より感謝申し上げます。
前KYOTO EXPERIMENT 共同ディレクター
ジュリエット・礼子・ナップ