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「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭をプラットフォームとした次代のクリエイター育成」事業のお知らせ
2025.4.30

プログラムディレクター後進育成、および本芸術祭のこれまでの創作における蓄積を海外に向けて発信していく機会拡大の観点から、2024年度よりスタートした「KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭をプラットフォームとした次代のクリエイター育成」事業のお知らせをいたします。
本事業は、独立行政法人日本芸術文化振興会に設立された文化芸術活動基盤強化基金の助成を受けて実施し、下記の5つの活動で展開します。
①次代のディレクター育成「Echoes Now」
②海外公演を通じたアーティスト育成「Echoes Around」
③批評プロジェクト
④プロデューサー、テクニカルディレクター育成
⑤海外キュレーター招聘
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①次代のディレクター育成「Echoes Now」
「Echoes Now」は、KYOTO EXPERIMENTが期待する次代のキュレーターとアーティストをショーケース形式で紹介するパフォーマンス・プログラムで、活動分野において異なる背景を持つキュレーター3名を、このショーケース公演の実践を通してプログラムディレクターとして育成していきます。加えて、国内外のネットワーキング活動を通して幅広い視野と知見を身につけることで、国際的に活躍できる人材を育成することを目指します。対象キュレーターは川口万喜、堤拓也、和田ながらの3名。和田は、2025年からアシスタント・ディレクターとしてディレクターチームにも参画します。
☞対象キュレータープロフィール
川口万喜
成安造形大学芸術計画クラスを自主退学後、4年間農業に従事。2009年より大阪・中之島にあるコミュニティスペース「アートエリアB1」の事務局スタッフとして、国内アーティストの展覧会、音楽ライブ、パフォーマンス公演などに携わる。2013年、同施設の事務局を法人化し、理事兼事務局長を2023年まで務める。同年2月より京都市京セラ美術館 事業企画推進室に広報担当として勤務。個人での活動として、多分野にわたるアーティストとの協働、展覧会の企画運営等を行う。
堤拓也
©︎Kai Maetani
1987年生まれ、関西拠点。キュレーター、グラフィックデザイナー。2019年アダム・ミツキエヴィチ大学大学院カルチュラル・スタディーズ専攻修了。展示空間の構成だけに限らず、パフォーマンスを含む1回的な体験機会を生み出す一方で、アジアを中心とした非制度的な実践に関心がある。これまでの主なディレクション/キュレーション実績に、シェアミーティング2「つぎつぎに(あつまっては)なりゆくいきほひ」(滋賀、2025)、MEET YOUR ART FESTIVAL 2024「SSS: Super Spectrum Specification」(東京)、山下拓也個展「闇が抱える光:熊、ムンク、チーズバーガー、他」(台北、2023)、国際芸術祭「あいち2022」(愛知)など。共同スタジオ・山中suplex共同プログラムディレクター。ICA京都プログラム・ディレクター/京都芸術大学准教授。
和田ながら
©︎Yuki Moriya
京都造形芸術大学芸術学部映像・舞台芸術学科卒業、同大学大学院芸術研究科修士課程修了。2011年2月に自身のユニット「したため」を立ち上げ、京都を拠点に演出家として活動を始める。演技という行為に強い関心を持ち、テキストやモチーフを接写するように読み解いていくことで、作品ごとに固有の演技の文法の構築をめざしている。美術、写真、建築、音楽、彫刻、ダンスなど、異なる領域のアーティストとも演劇を媒介に対話し、協働作業による作品制作に積極的に取り組む。2018年より多角的アートスペース・UrBANGUILDブッキングスタッフとして俳優にフォーカスしたパフォーマンスシリーズ「3CASTS」を企画。2020年よりNPO法人京都舞台芸術協会理事長。2025年度セゾン文化財団セゾン・フェローI。
*「Echoes Now」で紹介するアーティストは全プログラム発表時にお知らせします。
②海外公演を通じたアーティスト育成「Echoes Around」
KYOTO EXPERIMENTでは、これまで実験的な活動を行うアーティストの新作創作と上演に積極的に取り組んできました。その実績を活かし、KYOTO EXPERIMENTで製作した作品の海外での上演を通してアーティストの育成を行う「Echoes Around」をスタートします。「Echoes Around」対象アーティストは、荒木優光、チーム・チープロ、中間アヤカ、村川拓也の4組および「Echoes Now」にて紹介されるアーティストです。
☞対象アーティストプロフィール
荒木優光
アーティスト、音楽家、サウンドデザイナー。音楽を活動の主体としながらもその周縁に立つことを起点として、聴くことの創造性をユーモラスに追求し、再度音楽と結びつけることで文脈や効用の再考を促す。独自の解釈とプロセスによって音場空間を構築し、シアターピースやインスタレーション、パフォーマンス、ツアー、音源など多岐にわたる形態で発表する。近年の上演作品に、一般のワークショップ参加者とのパフォーマンス『空き地のTT』(2024)、カスタムオーディオカーによる野外コンサート作品『サウンドトラックフォーミッドナイト屯』(2021)など。音楽グループNEW MANUKEのメンバーとしても活動している。
チーム・チープロ
松本奈々子と西本健吾によるパフォーマンス・ユニット。身体と身振りの批評性をテーマに活動を続けてきた。近年は、具体的な場所や時間から一つのステップを見出し、そのステップが喚起する複数のコンテクストとパフォーマーの身体感覚や記憶の交差をあつかうダンス作品を制作している。主な作品に、『皇居ランニングマン』(2019-2020)、『京都イマジナリー・ワルツ』 (2021)、『女人四股ダンス』(2022)、『nanako by nanako』(2024)など。
中間アヤカ
©Bea Borgers
ダンサー。1992年別府生まれ、神戸在住。これまでに黒沢美香、contact Gonzo、チェルフィッチュ等の作品に出演。近年は自身の作品創作に積極的に取り組んでおり、「ダンスとしか呼ぶことのできない現象」を追い求め、それが現れる瞬間を他者と共有するための仕掛けを創り出すことに挑戦している。これまでの作品に、庭で他者の記憶を踊る4時間のソロダンス『フリーウェイ・ダンス』、空き地に建てた仮設劇場を運営し解体までを見届ける『踊場伝説』などがある。2018-2020年度DANCE BOXアソシエイト・アーティスト。2022年度よりセゾン文化財団セゾン・フェロー。第16回神戸長田文化奨励賞受賞。
村川拓也
©︎Guoqing Jiang
演出家・映像作家。ドキュメンタリーやフィールドワークの手法を用いた作品を、映像・演劇・美術など様々な分野で発表している。虚構と現実の境界に生まれる村川の作品は、表現の方法論を問い直すだけでなく、現実世界での生のリアリティとは何かを模索する。主な作品に、『ツァイトゲーバー』(2011)、『ムーンライト』(2018)、『Pamilya(パミリヤ)』(2020)、『事件』(2021)、『仕事と働くことを演じる』シリーズ(2022~)など。2016年に東アジア文化交流使(文化庁)として中国・上海/北京に滞在。2022年に第21回AAF戯曲賞にて、『事件』が特別賞を受賞。京都芸術大学映画学科、東京造形大学映画・映像専攻領域非常勤講師。
③批評プロジェクト
実験的舞台芸術の批評・評論を学ぶプロジェクト「批評プロジェクト」による評論家育成を実施します。実験的・現代的舞台芸術表現についての言説を創出していくことを通して、KYOTO EXPERIMENTの国際的発信力をより高めていくと共に、今後の関西地域および日本における舞台芸術シーンの活性化へとつなげていきます。
④プロデューサー、テクニカルディレクター育成
「Echoes Now」および「Echoes Around」アーティストの海外公演の制作・テクニカル業務の実践を通して、国際的に活躍できるプロデューサー及びテクニカルディレクターの育成を行います。「Echoes Now」および「Echoes Around」アーティストの海外公演の制作・テクニカル業務の実践を通して、国際的に活躍できるプロデューサー及びテクニカルディレクターの育成を行います。
⑤海外キュレーター招聘
海外の劇場・芸術祭等のキュレーターがKYOTO EXPERIMENT会期中に来日し、フェスティバルのプログラムを体験する招聘事業。招聘キュレーターにはフェスティバルの上演プログラムの鑑賞や、アーティストによるプレゼンテーションミーティングなど、複合的なプログラムで京都・関西の舞台芸術シーンについて見識を深めてもらい、育成対象のキュレーターやアーティスト、プロデューサー、舞台スタッフとさまざまな出会いと関係性をつくることで、海外展開につなげることを目指します。
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KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭をプラットフォームとした次代のクリエイター育成
主催:京都国際舞台芸術祭実行委員会 [京都市、ロームシアター京都(公益財団法人京都市音楽芸術文化振興財団)、京都芸術センター(公益財団法人京都市芸術文化協会)、京都芸術大学 舞台芸術研究センター、THEATRE E9 KYOTO(一般社団法人アーツシード京都)]、 一般社団法人KYOTO EXPERIMENT
助成:文化芸術活動基盤強化基金(クリエイター等育成・文化施設高付加価値化支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
https://kibankikin.jp/