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Shifting Points参加アーティスト決定!
2025.2.10
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このたび、Shifting Pointsに参加する6名のアーティストが決定しました。本事業は、Bangkok International Performing Arts Meeting(BIPAM)、KYOTO EXPERIMENTおよび国際交流基金が共同で実施する、タイ、日本、東南アジアの舞台芸術の次代を担うアーティストを対象とした3年間のインキュベーション・プロジェクトです。2020年以降、急激に変化する社会や文化の中で、タイ、日本、そして東南アジアにおける価値観や実践を見直し、舞台芸術の新たな思考体系を探るためにスタートしました。
Shifting Pointsは、西洋的な文脈における芸術の再生産ではなく、タイ、日本、そして東南アジアの文化的背景を踏まえながら、アーティストが自身のアイデンティティを再発見することを目的としたプロジェクトです。異なる歴史や文化を持つアーティストが交わり、各々の背景を活かしながら新たな表現を模索するプラットフォームを提供します。
今回の選考には、123件もの応募がありました。新たなプロジェクトのスタートにあたり、多大なるご関心をお寄せいただき、誠にありがとうございました。主催者にて慎重に応募書類を検討した上で面接を実施し、あらゆる可能性を考慮した選考を経て、最終的に6名のアーティストを選出しました。選考にあたっては、これまでの実績に留まらず、本プロジェクトを通して得られるであろう、新たな環境での経験が今後の創作に与える影響を重視しました。ご応募いただいたアーティストのみなさまは、それぞれが素晴らしい経歴と意欲をお持ちで、選考は困難を極めました。残念ながら今回ご一緒することがかなわなかった方々も、それぞれの場で今後も意欲的な活動を展開され、近い将来お互いの活動が出会うことを切に願っています。
【参加アーティスト】(ファーストネーム・アルファベット順)
アンナスタシャ・フェリナ Annastasya Verina(インドネシア)
玉井英和 Hidekazu Tamai(日本)
ホアン・アイン・グエン Hoàng Anh Nguyễn(ベトナム)
ポンサトーン・プッタコート Pongsatorn Phutthakhot(タイ)
タナポン・アッカワタンユー Thanaphon Accawatanyu(タイ)
内田結花 Yuka Uchida(日本)
この6名は、それぞれが異なる文化的背景を持つアーティストであり、互いに交流を深めながら、これからの創作の可能性を広げることが期待されます。2025年2月のオンラインセッションを皮切りに、3月にはバンコク、10月には京都でのフィールドワークを予定しています。
本プログラムが、国境を超えた共創の場となることを願い、選出されたアーティストの今後の挑戦に期待しています。
2025年2月10日
BIPAM、KYOTO EXPERIMENT、国際交流基金
【参加アーティスト プロフィール】
アンナスタシャ・フェリナ Annastasya Verina(インドネシア)
インドネシア・スラカルタを拠点とする振付家・ダンサー。Studio Plesunganでパートタイム勤務をしながら集中クラスに参加し、アーティスティックな方法論を発展させている。彼女の作品は、社会的なトピックを探究しながら身近な現実を問い直し、再解釈することで、自身とその創作プロセスの一部を考察する。これまでに『Nyorog』(International Mask Festival 2021)、『Waktu Ku Kecil, Tidak Besar』(サリハラ国際舞台芸術祭 2024)、『Sebut Saja N』(Indonesia Bertutur Festival 2024)など、さまざまなフェスティバルで作品を発表している。
玉井英和 Hidekazu Tamai(日本)
日本・京都拠点。劇団FAX 劇作家・演出家。日本の昔話の構造をベースに、言葉と言葉を「ご縁」でつないで物語を構成し、日本の精神性を表現できる作品の創出を目指す。京都大学において「祭りと住民の関係」を再考する研究をしており、宮崎、長野、ボツワナでのフィールドワークで得た知見は、演劇作品に反映されている。
ホアン・アイン・グエン Hoàng Anh Nguyễn(ベトナム)
ベトナム・ニントゥアン拠点。ストリートダンサーとしてのバックグラウンドを持ち、身体を主要なメディアと捉えるなかで、日常の観察から生まれる対話に注目している。これらは、日々の身振りや会話を理想化することや、アイデンティティへの問い、出会った現象や超現実的な出来事の再構築まで、多岐にわたる探求につながっている。直感的なアプローチと慎重なアプローチの間を行き来しながら、パフォーマンス、映像、コンセプチュアルアートなどの手法を用い、自身の思索を身体を通して投影する。これまでに、Nguyen Art Foundation、IN:ACT2022、Nổ Cái Bùm Art Festival、KULTX Collaborative Spaceなど、多様なスペースでライブパフォーマンスや作品の展示・上映を行っている。
ポンサトーン・プッタコート Pongsatorn Phutthakhot(タイ)
タイ・コーンケーン拠点。コーンケーン大学で舞台芸術を学び、アンサンブル俳優の衣装早替えに魅了されたことをきっかけに演劇の道へ。演劇の学びを通じて、物語を伝え、人間性を探究する深い力を発見する。これまでの作品では、反戦、女性のエンパワーメント、平和といったテーマを扱い、演劇を意義ある変革のためのツールとして捉えてきた。卒業後は視点を内面へと向け、心の平穏を探るとともに、故郷イサーンの文化的豊かさを再発見。現在は、イサーンの伝統文化——ラム歌、ケーン音楽、民話、詩など——に着想を得た作品を制作し、それらを新たな革新的な形で再構築することを試みている。
タナポン・アッカワタンユー Thanaphon Accawatanyu(タイ)
タイ・バンコク拠点。演出家・劇作家。タマサート大学で映画を専攻し卒業。在学中に演劇クラブで活動し、演劇作品の創作を開始。2015年、パフォーマンスフェスティバルへの参加を目的に「Splashing Theatre」を設立し、以降現在まで作品を発表し続けている。これまでの作品の多くは、映画を中心とした多様なメディアを演劇作品へと翻案することを試みている。2016年、『The Disappearance of the Boy on a Sunday Afternoon』でIATCの最優秀作品賞および最優秀脚本賞を受賞。2022年には、Theaterfestival BaselのWatch&Talkプログラムに参加。
Photo by junpei Iwamoto
内田結花 Yuka Uchida(日本)
1987年大阪生まれ在住。振付家・ダンサー。「上演環境や状況に振り付けられる身体」をテーマに、屋内外のあらゆる場で自作品を発表。主な作品に、日記を基にした振付を異なる環境や状況下で展開させていく『暮らしのシリーズ』(2019-23)、フィールドワーク素人たちによる鳩のコミュニティや生活をリサーチする『ニュー・フィールドワーク』(2023-)等。障害のある人もない人もともに活動するダンスカンパニーMi-Mi-Biに立ち上げより関わり、豊岡演劇祭公式プログラムとして上演した『島ゞノ舞ゝゝ』(2024)では、森田かずよと共同して演出を担う。文化庁・NPO法人DANCEBOX主催「国内ダンス留学@神戸」2期修了。また、ダンサーとして、多様な振付家・作家の作品に出演している。
Shifting Points 共同主催:BIPAM、KYOTO EXPERIMENT、国際交流基金