2022.10.20
演劇
2070年から照射される現代は、「今」とどう重なり合うか
「未来の世代は、私たちの時代をどのように判断するのだろう?」
政治やテクノロジー、芸術に限らず、すべての分野において、常に投げかけられるべき問いのひとつだ。本作の随所にみられる現代社会へのまなざしも、その問いを根っこに持っている。
作品の舞台は2070年。表現の自由が抑圧されディストピアと化した世界。若い女性が50年前に失踪した祖父の真相を突き止めようと奮闘し、物語はドライブしていく。言論統制され、過去に起きた不都合な事実を事実として公言できない世界に、主人公が得られる真実とはなにか。
脚本・演出・出演をつとめるのは、イラン最大の都市テヘランを拠点に活動し、劇作家、パフォーマー、元ジャーナリストなど多様な顔を持つアーザーデ・シャーミーリー。自身の経験から生まれた本作は、過去の不当な状況がどのように女性を動かしていくか、また、書類や映像、音声などを通して彼女自身の物語がどのように再構築されていくかを観客に追体験させる。ある出来事について証拠がない場合、それはその出来事が起こらなかったことになるのか? もし、証拠が確認できれば、それはその出来事が起こったことになるのか? 現代を生きる「私たち」の物語としても見ることができる。
あらすじ
2070年.ある若い女性が、自身で開発した装置を使って、昏睡状態にある母親との会話を始める。そして二人は、50年前に亡くなった母親の父、主人公の祖父の死をめぐる、消されたはずの「声」を聞くこととなる。
10.21(金)19:00★
10.22(土)17:00
10.23(日)17:00♡
★ポスト・パフォーマンス・トーク
♡託児あり(要事前申込/各公演7日前まで)
上演時間:55分
開場は開演の30分前
言語:ペルシア語(日本語・英語字幕あり)
15歳以上推奨。小学生以下入場不可。
アーザーデ・シャーミーリー Azade Shahmiri
テヘラン
シアターアーティスト、パフォーマンスメーカー。2009年にテヘラン大学演劇学科を卒業し、芸術学の博士号も取得。シャーミーリーの作品は、演劇、パフォーマンス、インスタレーションの形態を横断する。テキストと並んで、映画、ビデオ、音と視覚の素材のコラボレーションが彼女の創作の中心となっている。シャーミーリーの作品は、テヘラン、光州、ケーララ、ウィーン、チューリッヒ、バーゼル、エディンバラ、ブリュッセル、ベルリン、ジュネーブ、マンハイムなど、ヨーロッパとアジアの様々な劇場やフェスティバルで上演されている。
コンセプト・演出:アーザーデ・シャーミーリー
脚本:ソへイル・アミールシャリーフィー、アーザーデ・シャーミーリー
出演:シャーディー・キャラムルーディー、アーザーデ・シャーミーリー
技術監督:サバー・キャスマーイー
技術アシスタント・オペレーション:レイラー・アフマディー・アーバーデ
舞台セットデザイン:アーザーデ・シャーミーリー
映像:ソへイル・アミールシャリーフィー
作曲:アディーブ・ゴルバーニー
照明デザイン:アリー・クーゼギャル
衣装:マルズィーエ・セイエドサーレヒー
映像出演:ベフザード・ドラーニー、ホダー・ヘイダリー、サッジャード・ターベシュ、
マリアム・ラヒーミーヴァンド
共同製作:クンステンフェスティバルデザール、チューリヒ・シアター・スペクタクル
初演:クンステンフェスティバルデザール(ブリュッセル、2017年5月)
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(国際芸術交流支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会
主催:KYOTO EXPERIMENT
KYOTO EXPERIMENTスタッフ
舞台監督:さかいまお
照明:渡辺佳奈
音響:豊田英介(ロームシアター京都)
映像:川崎麻耶
衣装管理:清川敦子、山口玲奈
字幕翻訳:藤元優子
字幕操作:今井きな里
翻訳協力:鵜戸聡
制作:齋藤啓(ロームシアター京都)
短期インターン:田村望愛