展示
サムソン・ヤン
The World Falls Apart Into Facts
近寄ってみれば、だれもが複雑に混ざり合っている
香港を拠点に活躍し、2017年のヴェネツィア・ビエンナーレ香港代表を務めたサウンド・アーティスト、サムソン・ヤン。本作では、中国を代表する民謡「Molihua(茉莉花)」の系譜を辿る。この曲が清朝の時代に大英帝国を経てヨーロッパに伝わり、そこでアレンジされたものが中国に「再輸入」されたという経緯を、文化と政治の両面からリサーチし、映像とオブジェクトのインスタレーションとして制作。また、日本における唐楽(中国から朝鮮・日本に伝来した唐代の音楽で、雅楽の分類のひとつ)など、国と国を超えて作用する文化的系譜に関わるリサーチも、作品には含まれる。今回、ヤンは京都での滞在を通しても思索を深め、本作を再構成している。
今日、私たちが“日本的”ととらえる文化的系譜の多くは、歴史を振り返れば他国の文化を転用したものや、その影響下にあるものだ。国と文化を結びつけて語るとき、しばしば文化の純粋性や真正性といった概念を入れ込もうとする力が働くが、ヤンはそこにユーモアと疑問符をぶち込んでくれる。
9.30(土)- 10.22(日)10:00-20:00
*9.30(土)は22:00までオープン
*9.30(土)12:30よりアーティストによるギャラリーツアーあり
【ギャラリーツアー】
英語(日本語逐次通訳あり)
60分(予定)
参加無料・予約優先
☞ 予約フォーム (受付終了)
サムソン・ヤン
Samson Young
香港
1979年香港生まれ。サウンド、パフォーマンス、映像、インスタレーションなど、様々な分野を横断し活動するアーティスト。シドニー大学で音楽、哲学、ジェンダー研究を学んだ後、2007年に香港大学で MPhil を、2013年にプリンストン大学で作曲の PhD を取得。ヤンの作品においては、音とその文化的政治性が中心にあり、さらにアイデンティティ、移住、国境といった主題が探究されている。制作の過程では、厳格で歴史に依拠したリサーチに深く取り組んでいるが、ヤンの作品はしばしば遊び心とユーモアに溢れたものでもある。これまでに、グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、国立国際美術館(大阪)、アルス・エレクトロニカ(リンツ)、ドクメンタ14:documenta radio などで作品を発表。最近のソロプロジェクトには、Talbot Rice Gallery(エディンバラ)、森美術館(東京)などがある。2017年、第57回ヴェネツィア・ビエンナーレでは香港代表としてソロプロジェクト『Songs for Disaster Relief』を展開した。BMW Art Journey Award、アルス・エレクトロニカ、デジタルミュージック&サウンドアート部門で準優勝、2020年には第1回 Uli Sigg Prizeを受賞。ヤンは CMHK の創設者であり、アーティストコレクティブ Tomato Grey のメンバーでもある。
作曲・テキスト・美術・映像編集:サムソン・ヤン
パフォーマンス:ジュネーブ・フォン、サムソン・ヤン、香港中文大学合唱団(指揮:レオン・チュー、クリスティ・ウォン)
ナレーション:クリスチャン・ウェイコップ博士
ビデオ撮影:イップ・ユウトン・ザカリー、ラウ・チュン・シン、ファン・カイ・チェク、レオン・ティン・チュン・ジミー、リー・チュン・ワイ、レオン・ホー・シン
プロダクションマネジメント:ジョーンズ・リー
プロダクション: クリスティ・コー、ドナ・ロイ、ビビアン・レオン、チャン・チャク・クワン、レイ・ウォン、ジョーンズ・リー、"ジョナサン"、ヘンリー・フォン、エドワード・ラウ、"ロッキー"、"エレファント"、"ヒム"、シシー・タン
録音:サムソン・ヤン、ティーダ・リー
3D印刷テクニカルサポート:アンドリュー・クロウ(Meta Objects)
スペシャルサンクス:アレックス・レディング、テッサ・ギブリン、タルボット・ライス・ギャラリー、St. Ceciliaʻ s Hall、エディンバラ大学リード音楽院
展示設営:株式会社ゴードー
映像設営:斎藤悠麻、松見拓也
字幕翻訳:日本映像翻訳アカデミー
グラフィックデザイン:小池アイ子
インターン:石川湖雪、主藤しゅう、中野咲希
コーディネート:中谷圭佑(京都芸術センター)
協力:オオタファインアーツ、京都大学人文科学研究所、東京都写真美術館/恵比寿映像祭
協賛:PORTER’S PAINTS
助成:香港芸術発展局
主催:KYOTO EXPERIMENT
Hong Kong Arts Development Council は芸術表現の自由を全面的に支持します。このプロジェクトで表明された見解や意見は、Hong Kong Arts Development Council の立場を代表するものではありません。