近寄ってみれば、だれもが複雑に混ざり合っている
香港を拠点に活躍し、2017年のヴェネツィア・ビエンナーレ香港代表を務めたサウンド・アーティスト、サムソン・ヤン。本作では、中国を代表する民謡「Molihua(茉莉花)」の系譜を辿る。この曲が清朝の時代に大英帝国を経てヨーロッパに伝わり、そこでアレンジされたものが中国に「再輸入」されたという経緯を、文化と政治の両面からリサーチし、映像とオブジェクトのインスタレーションとして制作。また、日本における唐楽(中国から朝鮮・日本に伝来した唐代の音楽で、雅楽の分類のひとつ)など、国と国を超えて作用する文化的系譜に関わるリサーチも、作品には含まれる。今回、ヤンは京都での滞在を通しても思索を深め、本作を再構成している。
今日、私たちが“日本的”ととらえる文化的系譜の多くは、歴史を振り返れば他国の文化を転用したものや、その影響下にあるものだ。国と文化を結びつけて語るとき、しばしば文化の純粋性や真正性といった概念を入れ込もうとする力が働くが、ヤンはそこにユーモアと疑問符をぶち込んでくれる。
作曲・テキスト・美術・映像編集:サムソン・ヤン
パフォーマンス:ジュネーブ・フォン、サムソン・ヤン、香港中文大学合唱団(指揮:レオン・チュー、クリスティ・ウォン)
ナレーション:クリスチャン・ウェイコップ博士
ビデオ撮影:イップ・ユウトン・ザカリー、ラウ・チュン・シン、ファン・カイ・チェク、レオン・ティン・チュン・ジミー、リー・チュン・ワイ、レオン・ホー・シン
プロダクションマネジメント:ジョーンズ・リー
プロダクション: クリスティ・コー、ドナ・ロイ、ビビアン・レオン、チャン・チャク・クワン、レイ・ウォン、ジョーンズ・リー、"ジョナサン"、ヘンリー・フォン、エドワード・ラウ、"ロッキー"、"エレファント"、"ヒム"、シシー・タン
録音:サムソン・ヤン、ティーダ・リー
3D印刷テクニカルサポート:アンドリュー・クロウ(Meta Objects)
スペシャルサンクス:アレックス・レディング、テッサ・ギブリン、タルボット・ライス・ギャラリー、St. Ceciliaʻ s Hall、エディンバラ大学リード音楽院
協力:オオタファインアーツ、京都大学人文科学研究所
協賛:PORTERʼS PAINTS
助成:香港芸術発展局
主催:KYOTO EXPERIMENT
Hong Kong Arts Development Council は芸術表現の自由を全面的に支持します。このプロジェクトで表明された見解や意見は、Hong Kong Arts Development Council の立場を代表するものではありません。