上映会
出町座 x KYOTO EXPERIMENT 上映企画
出町座とKYOTO EXPERIMENTが共同で企画する上映企画がスタート! 2021年春に上演した垣尾優によるダンス作品『それから』制作現場に密着したドキュメンタリー映像 (監督・撮影:金成基、初公開) と、2016年秋に上演した太田省吾作、シャンカル・ ヴェンカテーシュワラン演出『水の駅』記録映像を1週間限定上映する。
舞台芸術と映像の新たな関係性を見出す格好の機会となるに違いない。
『それからのこと』 (監督・撮影:金成基)
『それからのこと』はKYOTO EXPERIMENT 2021 SPRING にて上演された、垣尾優『それから』の制作過程を追ったドキュメンタリー映像である。関西を拠点に、さまざまなジャンルや表現を独自の身体言語で解釈し、見るたびに新たな一面を見せてくれる稀有なダンサーであり、振付家の垣尾優。彼のクリエーションを記録した、初公開の映像作品となる。
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何をしているのかはよくわからない。何が起こっていのかもよくわからない。何を考えているのかもよくわからない。少しずつ形が見えてきて、わかったような気がした時には、違う形に移り変わっていっている。
垣尾優氏のパフォーマンスを観た者は少なからずそう感じるのではないかと思う。しかし、私たちの日常もその場で起こっていることをその場で理解するのことは、実際には難しく、不可能なことのようにも思われる。
時間を置いて、“映像”という欠落と誇張を含んだ記録を垣尾氏と再度見返しインタビューを重ね、作品「それから」の周辺を配置し直す。制作過程という作品の外にある部分に目を向けることで垣尾優という人物を考える時間を提出したい。
-金成基 (監督・撮影)
シャンカル・ヴェンカテーシュワラン / シアター ルーツ& ウィングス
『水の駅』
KYOTO EXPERIMENT 2016 AUTUMN で上演された、インドの演出家シャンカル・ヴェンカテーシュワラン『水の駅』の記録映像。
『水の駅』は演出家、劇作家の太田省吾による「沈黙劇」の代表作である。一切のセリフを排し、極端に遅い動作を俳優に課すことで、文化や言語、社会的属性を剥ぎ取られた原初の人間を浮かび上がらせ、見る者に永遠につづく時間に触れている感覚を想起させる。1981 年に初演されて以来、国内外で高い評価を得てきたこの沈黙劇が、太田とは世代も国籍も異なるシャンカル・ヴェンカテーシュワランの演出で、多民族国家であるインドとスリランカの俳優たちによって上演された。
舞台上にぽつりと設けられた水飲み場。蛇口から細く流れ続けるひと筋の水。この“ 水の駅” をさまざまな人が訪れ、去っていく…… 。
21 世紀インドから太田省吾への新たな応答として、沈黙劇の可能性を拡げ、あらたな視座を示した野心的な作品である。先が見えづらい社会や困難な世界状況の中でこそ、本作と向き合い、耳を傾けることで、ほんの少し先の未来が見えてくるのではないだろうか。
10.8 (金) -10.14 (木)
『それからのこと』 各日12:25-13:10
『水の駅』 各日13:25-15:26
★トーク
10.10(日)『それからのこと』終映後。
登壇:金成基(監督・撮影)、垣尾優(ダンサー)
金成基
1986 年大阪生まれ。京都在住。大学で絵画を専攻したのち、貿易会社、 スタジオマンを経てフリーランスのフォトグラファーとなる。現在は写 真、映像の撮影業務を行いつつ、芸術作品のテクニカルサポートなどを 行なっている。
シャンカル・ヴェンカテーシュワラン
1979 年インド・ケーララ州生まれ。インドおよびシンガポールで研鑽を積み、2013 年ノルウェーの国際イプセン奨学金受賞。現在、ケーララ州の山中に劇場を構え、地元と世界の文脈をつなぐ演劇活動を展開している。
『水の駅』(2016年上演 / 撮影・編集:桜木美幸 会場:京都芸術劇場 春秋座 製作:京都芸術大学 舞台芸術研究センター)
協力:太田美津子、シャンカル・ヴェンカテーシュワラン / シアター ルーツ&ウィングス