トーク
アートとポリティクス<3>
ロシアのアート・アクティヴィズムと戦争
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ロシアの芸術を考えるときに、政治という要素を切り離すことはなかなかできない。20世紀のロシア・アヴァンギャルドは、帝国の政治体制に不満を抱き、ソ連という新しいユートピアを実現しようとした人々による運動だった。それが、スターリンによる「国づくり」の志向と重なるものであったことは、ボリス・グロイスが指摘している通りだ。
2022年2月24日、ロシアはウクライナに侵攻した。それまでも政権の腐敗や国民の無関心をアート・アクティヴィズムの手法で指摘し、社会に関与しようとするアーティストはたくさんいた。戦争が始まって、一般市民も反戦のポスターを持って街に立ったり、また、Zの人文字を作ったり、国家に対する意思表示をパフォーマンスする機会が大きく増えた。戦争は人々の何を変えるのか。プッシー・ライオットから現在の戦時下のストリート・アートまで、ロシアの反体制アートを考える。
ゲスト:上田洋子(ロシア文学者、ロシア語通訳・翻訳者)
聞き手:森山直人(演劇批評家)
10.23(日)11:00-13:00
上田洋子(うえだ・ようこ)
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1974年生まれ。ロシア文学者、株式会社ゲンロン代表。著書に『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』(調査・監修、ゲンロン)、『歌舞伎と革命ロシア』(編著、森話社、2017)、『プッシー・ライオットの革命』(監修、DU BOOKS)、翻訳に『瞳孔の中 』(共訳、松籟社)など。展示企画に「メイエルホリドの演劇と生涯:没後70年・復権55年」展(早稲田大学演劇博物館)など。
企画協力:森山直人