2021
10.9
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音楽・パフォーマンス
magazine
2021.10.1
10月1日(金)から開幕したKYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 AUTUMN。ここでは「Shows (上演プログラム)」の作品制作現場にお邪魔し、そのレポートを発信します。
今回お邪魔したのは、ルリー・シャバラ『ラウン・ジャガッ:極彩色に連なる声』のワークショップです。
インドネシアのジョグジャカルタを拠点とする、実験的音楽デュオ「SENYAWA」のメンバー・ルリー・シャバラと、公募で集まった出演者らがリモートでワークショップを行い、指揮者不在のパフォーマンスを行うという本公演。いったい、どのように創作が行われているのでしょうか。(文:中村友紀〈KYOTO EXPERIMENT インターン〉)
9月26日、本番の会場でもあるロームシアター京都 サウスホールに集まっているのは、演出家の筒井潤さん、テニスコーツのさやさんと植野隆司さんのお二人、大勢のスタッフのみなさんと、それから歌い手となる出演者のみなさんです。ここにはルリーさんの姿はなく、ジョグジャカルタと京都をつなぐZoomの準備が進められています。
最初のワークショップとなったこの日、集まった出演者のみなさんは20名。最年少は8歳・最年長は60代と、非常に幅広い年代の歌い手が集まっています。合唱をはじめとする作品制作に携わる方から、声にコンプレックスがあるという方まで、歌の経験も様々です。
満を持して画面の向こうにルリーさんが登場し、この作品についての説明が行われました。
今回の試みについて、「ラウン・ジャガッ」というシステムを使いつつ、指揮者が不在の中何が起こるのか、スクリーン越しではどういった変化が生まれるのか実験をしたいと、ルリーさんは言いました。
それでは練習を…というところで、機材トラブルが起こってしまいました。どうやら、声が反響してしまったようです。リモートでのやり取りにおける難しいところです。
トラブルを乗り越え、いよいよ練習に入ります。出演者のみなさんは、画面に映し出される色と図形を見ながら、それに対応する声を出していきます。ルリーさんのお手本も聴きながら、ひとつづつ確認をしていきます。
例えば黄色の図形の場合、歌い手は自由に音程をつけてハーモニーを奏でる声を出します。ただし、ルリーさんは「周りの声をよく聴いて」とアドバイスを加えました。そうすることで、不思議と一体感があり、うわんうわんと響くような音楽になったように思います。
ひとつひとつ確認した後は、指揮となる画面を見つつ、早速セッションが行われました。
ルリーさんが不在の中、みんなで指揮を解読していく様子は、まさに、指揮者のように特権的な立場を陣取る人がいない中での創作に感じました。お互いの声を聴き合い、尊重しつつ、自分の声も聴き、発声させていく。最終的にどのようなセッションになるのか、とても楽しみです。
どの図形がどの声に対応するかを必死に覚えつつ、とりあえず即興でやってみようする歌い手のみなさんの姿が印象的でした。10月4日から本番までは毎日ワークショップが行われるため、図形を覚えることは次のワークショップまでの宿題です。
今日のワークショップの様子は動画でもご紹介しています。併せてご覧ください!
来週 10.9(土)-10.10(日)に上演を控えた、ルリー・シャバラ『ラウン・ジャガッ:極彩色に連なる声』。
ロームシアター京都で行われたリハーサルの様子を少しだけご紹介🎥✨どんなセッションが立ち上がってくるのか、楽しみです!https://t.co/EFgiapxC9t pic.twitter.com/g9kJ0AACV3— KYOTO EXPERIMENT (@kyoto_ex) September 30, 2021
ルリーさん、筒井さん、テニスコーツさん、スタッフの皆さん、そして何をやるのかわからないところに飛び込んできたチャレンジャーのみなさんで作り上げる舞台は、ワークショップを経た10月9日(土)が初日です。初めての試みによるセッションをお見逃しなく!
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ルリー・シャバラ
ラウン・ジャガッ:極彩色に連なる声
10.9 (土) 17:00
10.10 (日) 17:00
上演時間☞60分(予定)
開場は開演の30分前
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