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【稽古場レポート】垣尾優『それから』編

2021.2.17

2/6(土)より開催されているKYOTO EXPERIMENT 2021 SPRING。いよいよ最初の舞台公演の本番が近づいてきました。
今回は2/26(金)に初日を迎える垣尾優さんの新作ダンス公演『それから』の稽古場を取材しました。(文:山田航大〈KYOTO EXPERIMENT インターン〉)

訪れた稽古場で最初に目を引いたのは、、、

倒れている自転車とキャベツ(かレタス)・・・?

どうやって使うのでしょうか?
もし自分が舞台上で踊るとしたら、自転車やキャベツを使おうとは思いつきません。そんなことよりなぜキャベツが置いてあるのか気になりますね。早く稽古が見たくてワクワクします。

写真には写っていませんがスタッフの方がたくさんいて、稽古に入る前に打ち合わせが進んでいます。自転車を置く位置や音楽が鳴るタイミングなど、真剣な面持ちで会議しています。キャベツと自転車はほったらかしです。

会議の間にKYOTO EXPERIMENT 共同ディレクターのプログラム紹介から抜き出したコメントを紹介します。

これは垣尾さんから送られてきたドローイングです。共同ディレクターたちには、これが「人間が変化していくように見えた」そうです。他にも「言語化しにくい面白さがある」、「イメージが豊穣である」と紹介していました。
確かにこのドローイングには変わりゆく人間の姿が描かれているように思えます。あ、一番右の人の胸元に「APE」って書いてある気がします、、、これも関係あるのでしょうか。ディレクター陣のトークはこちらから視聴できます。 

そんなことを考えているうちに稽古が始まってしまいました!

目の前を垣尾さんがゆっくりと通り過ぎていきます。ゆっくり大きな動きで、まるで稽古場全体を包み込んでいくようです。舞台上に垣尾さんが存在し始めると、床に転がっているキャベツはそこにあるのが自然に思え、意味を持ち始めます。そしてキャベツに与えられた意味は垣尾さんによって容易く変えられていきます。


もう一つ印象的だったのは、滑らかな動きの合間に、何かにぶつかるような動きがちりばめられていることです。または、自分の力ではコントロールできない力(例えば遠心力など)によって踊らされているようにも見えます。

垣尾さんが一人で踊っているのに加え、キャベツや身体といった目に見えるものや、重力や遠心力といった見えないものが一緒になって一つの作品を創りあげていく、その過程が面白いと思いました。
さて自転車はキャベツと同じく、垣尾さんに意味を与えられるものなのでしょうか、それとも垣尾さんを踊らせ、意味を与えているものなのでしょうか。どのように機能するのかは是非劇場で見ていただきたいです。


単なる僕の解釈ですが、これらは目に見えているようで見えていないようでもある、そんな曖昧なものだと思います。垣尾さんの振り付けされた動きとも即興的な動きとも、どちらとも取れるような曖昧な動き、しかし際限なく繰り出される表現は、身体の軽さ/重さを始めとした様々な二項対立が相互に補完し合っているように見えます。言葉にはできない繊細な部分を「踊り」で語りかける。言語化されない面白さが『それから』には詰まっているように思います。
垣尾優『それから』のトレーラーはこちらから視聴できます。
 

ここから本番までにさらに変わっていくはずです!公演は2/26(金)~2/28(日)です。是非足をお運びくださいませ!

垣尾優『それから』
2.26(金) 19:00
2.27(土) 17:00 ★
2.28(日) 17:00
*開場は開演の30分前。
★ポスト・ パフォーマンス・トーク

上演時間:60分(予定)
ロームシアター京都 ノースホール
詳細はこちら 

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