magazine
【稽古場レポート】音遊びの会×いとうせいこう『音、京都、おっとっと、せいこうと』Day1 上ル Day2 下ル 編
2021.2.24
KYOTO EXPERIMENT 2021 SPRINGで上演される舞台芸術作品の制作現場をレポートする本企画。今回お邪魔したのは音遊びの会×いとうせいこうさんです。
知的障害のある人もない人も世代を超えて共に創作・活動するアーティスト集団、音遊びの会。そして、ヒップホップ文化を知らしめ、日本語でのラップ表現の可能性を開拓し、小説家や俳優としても活躍するいとうせいこう。この二組の実験的なセッション、いったい何が生まれるのでしょうか。〈文:山田航大(KYOTO EXPERIMENT インターン)〉
稽古場に到着して早速、音遊びの会メンバーのふじもとさんがKYOTO EXPERIMENT 共同ディレクターのジュリエットさんに話しかけています。生年月日と血液型を聞いているようです。
また別の場所ではいとうさんとあやちゃんの漫才のようなトークが始まりました。おしゃべり好きなあやちゃんは話に夢中になるとマスクを外してしまい、いとうさんやスタッフに「マスクマスク(を着けて)!」と言われてあわてて付け直しますが、周りの人はそのやりとりを楽しそうに見ています。(マイクは使用するたびに消毒しています)
舞台上の楽器を使って演奏をします。
舞台に出てきた二人、歌とダンスを始めます。ともくんはマイクを手に「阪急電車ガタンゴトン、次は◯◯です。」と車掌の真似をします。それを見てダンス担当のたかやまくんは電車に乗り込む動きを始めます。
突然おしゃべり好きのあやちゃんが「ガタンゴトン入りまーす!」と大きな声で宣言すると、だんだんガタンゴトンの参加者が増えていきます。大人や子供、障害のある/なし関係なく、ガタンゴトンの音に身体が動き出します。
二人しかいなかった舞台にはいつの間にかいとうさんを含め、大勢のメンバーが集まっています。ガタンゴトンのリズムに乗って、様々な音やいとうさんの詩が飛び交い始めます。
盛り上がってきたところで即興演奏が打ち切られました。いとうさんも思わず「終わっちゃったよ〜」と嘆いています。僕ももっと聞いていたかったです。
即興演奏は高度な技術や知識が求められるというイメージがあったのですが、今回の稽古場での自由で何でも受け入れてもらえる雰囲気の中で、そのようなイメージは払拭されていきました。
普通なら舞台に立たされて「何かしろ」と言われても何もできないですが、この空間では、何でもできるような気持ちになります。ここでの即興は技術を使って計画し行動するのではなく、とりあえずやってみる、そこに誰かが飛び込んで一緒に楽しむ、というお祭りみたいなものです。
みんなただ楽しく遊んでいるから、見てる人も楽しくなるし、参加したくなります。楽しさが観客席まで伝播していきます。いとうせいこうさんもそんな音遊びの会が作り出す魅力に影響されて、音遊びの会のイチメンバーとして舞台上で遊んでいるように見えました。
その場の瞬間瞬間で生まれる音と言葉のセッションをぜひお楽しみくださいませ!
———————————————————————————————————————————
音遊びの会×いとうせいこう『音、京都、おっとっと、せいこうと』Day1 上ル Day2 下ル
日時:3.13(土) 18:00
3.14(日) 14:00 ★
*開場は開演の60分前。
★ポスト・パフォーマンス・トーク
会場:京都府立府民ホール“アルティ”
詳細はこちら
———————————————————————————————————————————