2023
10.9
-
10.15
ダンス
magazine
2023.10.8
KYOTO EXPERIMENT 2023で上演されるパフォーマンスの制作現場のイマをレポートする「稽古場レポート」。今回お届けするのは、10月9日に開幕する中間アヤカ『踊場伝説』。クリエイション真っ最中の10月5日にお邪魔しました!
会場は京阪・叡山電鉄出町柳駅からほど近い空き地。かつては「養生市営住宅6棟」が建っていた跡地です。
会場に着くと、大迫力の仮設劇場が目に飛び込んできました。大きく横に伸びる舞台の中央からは傾斜のついた長い花道が続き、空き地を二分しています。
昨日設営が終わったばかりだというこの劇場、実はパフォーマンス最終日に重機で壊してしまいます。1週間の公演期間のあいだに、この劇場でどのような伝説が語られ、あるいはつくられていくのでしょうか?
舞台の上ではダンサーの中間さんがストレッチをしたり走ったり、時には座って考え込んだりしていました。中間さんがこの舞台に乗るのは今日が初めてだそう。「今まで稽古をしていた小さなスタジオとは全然違う」と言いながら、じっくり時間をかけて場に自分を馴染ませているようでした。
舞台に上がってみると、あたりを一望できる見事な眺めです。2mを超える高さに足がすくんでしまいますが、中間さんはここでヒール靴を履いて踊るというので驚きです。
中間さん自身の稽古の傍らで、会場の設営も進められています。前日に綺麗に張った銀色のシートが、今日は強風で吹き飛んでしまったということで、修復作業が行われていました。
上演に向け準備をしてきたチームの合言葉は「劇場ができてみないとわからない」だったそう。いざ現場に入ってみて、やはり様々なトラブルに見舞われているといいます。それでも皆さんがその状況をどこか楽しみながら、リラックスして場と作品を作り上げている様子が印象的でした。
舞台の下は回廊式の展示スペースです。観客はこの中を歩き、関西のコンテンポラリーダンス界で語り継がれてきた伝説にまつわる展示を鑑賞できます。この空間が開演時にどのような姿になっているのか、気になるところです。
会場の片隅ではドラマトゥルクの藤澤さんがなにかを作っています。これは展示スペースで観客が手に取ることのできる「アルバム」だそう。「伝説」をリサーチするなかでインスピレーションを得て制作したといいます。表紙に貼り付けている様々な色の石はこの空き地に落ちていたもの。かつてここにあった市営住宅に由来するのでしょうか。
「踊場」の伝説は、語り継がれるうちに少しずつ姿を変えてきたのでしょう。あるいは忘れ去られてしまった伝説も、多くあるにちがいありません。明確な輪郭を持たない、捉えどころのない伝説たちが、すでに建造物を失ったこの空き地と重なるようにも思えます。
この場所に伝説が立ち現れ、そしてまた空き地へと戻っていく様子を目撃しに、ぜひお立ち寄りください!
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【公演情報】
中間アヤカ『踊場伝説』
10.9(月祝)- 10.14(土)11:00-20:00
10.15(日)11:00-18:00
*10.12 (木) 休演日
入退場自由。
⚠️ 雨天決行。雨具は各自でお持ちください。
荒天などの影響により、公演内容を変更または中止する場合があります。
会場にはいくつか椅子をご用意しますが、立見となる可能性もございます。
各自で持ち運び可能な椅子をお持ちいただいても構いません。
(文・写真・編集:山田美季子[KYOTO EXPERIMENT 事務局インターン])