2021.10.13
ダンス
ひそやかな音の世界で、時間や生命の密度を描き出す
「むくめく む」とは、 “うごめく” や “剥く” 、 “芽” 、命の始まりを表す “産(む)” すなどを意味する古語をつなげたことば。生命がかたちを持つ以前の、神話的世界を想起させるタイトルを冠した本作は、多くの振付賞を受賞してきた注目の振付家・ダンサー 関かおりが率いる、関かおりPUNCTUMUNによる最新作(初演:2020年2月)だ。
「身体を無数の点の集合と捉え、丹念に感覚を探っていく」という関のダンスにおけるアプローチは、観る側のわたしたちの知覚も呼び覚ますものだ。ダンサーたちは一瞬一瞬に神経を注ぎ、ゆっくりと、進み、ころがり、うごめきながら、一秒という時間を拡大した世界へわたしたちを誘う。驚くことに、時折、遠くで微かなざわめきが聴こえる以外は、一切の音が使われていないかのようだ。観客は自ずと感覚を研ぎ澄まし、展開を見守ることとなる。いずこから漂ってくる香りも、五感を先鋭化させるための仕掛けだ。こうして少しずつひそやかに、踊るもの、観るものが互いに感覚を共鳴させていった先——いのちの気配や“音”が立ち上り、言葉にならない感情が湧き起こることに気づくだろう。それは、「今」という奇跡の瞬間を見つめ、時間や生きることを問い直す体験なのかもしれない。
10.22 (金) 19:00
10.23 (土) 16:30 ★
10.24 (日) 13:00
★ポスト・パフォーマンス・トーク
上演時間☞65分
開場は開演の30分前
年齢制限・注意事項:3歳未満入場不可
関かおり(せき・かおり)
日本
関かおりPUNCTUMUN (プンクトゥムン) 主宰。ヒトや動植物の生態や感覚機能、言語外コミュニケーションなどに興味を持つ。視覚を通して観客の皮膚感覚等に働きかける試みや、嗅覚から得る刺激を作品要素に取り入れた作品を国内外で上演。2012年岩渕貞太との共作により、横浜ダンスコレクション若手振付家のための在日フランス大使館賞、同年トヨタ コレオグラフィーアワード2012次代を担う振付家賞、2013年エルスール財団新人賞、2017年日本ダンスフォーラム(JaDaFo) 賞2016受賞。2014–17年度公益財団法人セゾン文化財団ジュニア・フェロー。2021年度よりセゾン・フェロー II。
振付・演出:関かおり
出演:岩渕貞太、内海正考、大迫健司、後藤ゆう、杉本音音、髙宮梢、関かおり
アンダースタディ:佐々木実紀
リハーサル協力:清水駿
舞台監督:湯山千景
照明デザイン:高田政義 (RYU)
音響デザイン:堤田祐史
音響オペレーター:安藤誠英
衣装デザイン:萩野緑
香り演出:吉武利文 (香りのデザイン研究所)
美術コーディネーター:冨澤奈美
制作:木枝遊子、須知聡子
作品制作協力:世田谷パブリックシアター
初演:シアタートラム (2020年)
製作:団体せきかおり
助成:文化庁文化芸術振興費補助金 (国際芸術交流支援事業)|独立行政法人日本芸術文化振興会、公益財団法人セゾン文化財団
主催:KYOTO EXPERIMENT