2021.2.14
展示・上映
ポップでグロ可愛い カニバリズム・ワールド
インドネシアのジョグジャカルタを拠点にヴィジュアル・アーティストとして活動しながら、近年はパフォーマンス作品にも注目が集まるナターシャ・トンテイ。2017年にスタートしたこのプロジェクトは、人間が生きていく上で必要な“食べる”行為を、ポップでグロ可愛いトンテイワールドに染め上げて、地球温暖化や過剰消費など、現代社会が持つさまざまな問題へと観るものを誘ってくれる。
人体を模した形や色の料理で構成されたディナーテーブルが配置される展示空間。今作は新たに撮影された、その料理を楽しむトンテイとパフォーマーの映像が加わり、その空間の中で映像を鑑賞できる作品だ。トンテイとパフォーマーの食事の行為は、社会的にタブー視されているカニバリズムにも通じ、食べること=生きることが、いかに社会的恐怖と不安により支配されているかを暴き出していく。カニバリズムというコンセプトは同時に、植民地時代の力学から表象されてきた歴史を持ち、現在もそのまなざしから逃れているとはいえないだろう。また、地球温暖化につながる過剰消費社会に、自らの身体を消費 (=食べる) することでしか生き延びられない人を重ね合わせた、アイロニカルな視点も隠れている。
上映会では、パフォーマティブ・ディナーという演劇的なしつらえが施された展示空間の中で、京都での発表のために創作された映像を存分に楽しむことができる。特別メニューを眺めながらの鑑賞は、いかなる体験をもたらしてくれるだろうか。乞うご期待!
※上演に向けて準備を進めて参りましたが、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴いアーティストの来日が難しくなったため、インドネシアで新たに制作した映像を、ナターシャ・トンテイがデザインしたインスタレーション空間内で上映する形へと変更になりました。
上映以外の時間は、京都芸術センター制作室1に設えられたインスタレーションをお楽しみいただけます。
3.9 (火) – 3.14(日)
上映会:17:00/19:00 (全日程)
展示:10:00-16:00 (無料・予約不要)
*上映時間に受付よりご案内いたします。
* 3.9 (火) – 3.14 (日)の期間、会場内をインスタレーション作品として公開します。
上映時間: 45分
年齢制限・注意事項:
未就学児不可。12歳以下は保護者の同伴が必要。
【トーク開催決定!】
・3.11 (木) 19:00 上映終了後
共同ディレクター3人によるトーク
・3.12(金) 19:00 上映終了後
ナターシャ・トンテイによるアーティストトーク
(聞き手: 共同ディレクター)
トンテイとクリエーションチームが、インドネシアからオンラインで参加します。
*トークは、その回の上映会にお越しの方のみご参加いただけます。
ナターシャ・トンテイ
Natasha Tontey
インドネシア、ジョグジャカルタ
アーティスト・グラフィックデザイナー。ジョグジャカルタを拠点に活動。フィクションの概念を思索の手法として探求する作品を制作する。こうした手法により「捏造された恐怖」にまつわる歴史や神話の虚構に光を当て、それらがどのように未来への期待を規定するかを探る。Next Wave Festival (2016) 、黄金町バザール (2015)、ザ・インストゥルメント・ビルダーズ・プロジェクト・キョウト—循環するエコー (2018)、Multispecies Experiment (2019) 、Polyphonic Social 2019 by Liquid Architecture、K4 Gallery of Video and Moving Image (2019) 、The Wrong Biennale for Digital Arts (2019) などで作品を発表している。2019年には ArtJog MMXIXの Young Artist Award を受賞。2020年 ZKM Karlsruhe and Akademie Schloss Solitude の Net-Based Projects in the Fields of Art, Technology and Design 部門HASH賞を受賞。Performance Space (シドニー) Micro Fellowship 2020およびトランスメディアーレ2021のMartin Roth Initiative Virtual Residencyに選ばれている。
作・演出・ドラマトゥルク・デザイン: ナターシャ・トンテイ
出演: アフマド・スーサントリ、アルシタ・イスワルダニ、ナターシャ・トンテイ
制作: バスンダラ・ムルバ・アンガナ
衣装デザインアシスタント: バーバム
協力: マックス・スリアガンダ
製作: ナターシャ・トンテイ
共同製作: KYOTO EXPERIMENT
後援: 在大阪インドネシア共和国総領事館
助成: 文化庁文化芸術振興費補助金(国際芸術交流支援事業) | 独立行政法人日本芸術文化振興会、Performance Space Micro-Fellowship 2020
主催: KYOTO EXPERIMENT