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演劇・美術
magazine
2021.10.12
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭 2021 AUTUMN「Shows (上演プログラム)」の作品制作現場にお邪魔し、そのレポートを発信する本企画。今回は、和田ながら×やんツー『擬娩』の稽古にお邪魔します。
出産未経験の作り手たちが、妊娠・出産をシミュレートしていく『擬娩』。公募で出演が決まった高校2年生の石川大海さんによると「毎回来るたびに変化している」とのことですが、一体どのような変化が起こっているのか覗いてみます!(文:中村友紀〈KYOTO EXPERIMENT インターン〉)
『擬娩』の稽古は、とてもゆるやかに明るい雰囲気で始まりました。舞台上での立ち位置が被らないよう、稽古場にビニールテープで印をつけるところからスタートです。
みなさんが印を付けている間中、セグウェイがうろうろとしています。
このセグウェイは、舞台美術としてやんツーさんが持ちこんだもののうちのひとつのようです。「ピーピー」と電子音が鳴ってしまうのに対し、みなさんが「人が多くて嬉しいのかな~」と、まるで出演者のひとりのように声をかけていました。
この日稽古が行われたのは、初演にもあった母親が子宮の中の胎児に話しかけるシーン。
妊娠が発覚したものの、それを迂闊には人に言えない葛藤を「みんなにサプライズしたいから待ってて」と話しかけ表現されています。この時は、母親が胎児を感じて直ぐの喜びが前面に出ているように見えました。
『擬娩』には、台本らしい台本がありません。そのため、稽古の場で即興的に試しつつ、シーンを作っている最中です。
シーン終えたところで、演出の和田ながらさんから「リアリティーがない」との指摘が。事前に打ち合わせていた段取りをこなすことが、演技に無理を生じさせてしまったようです。
また、出演者からは妊娠初期のつわりをどのように表現するかが難しいとの声がありました。「つわりは基本の状態であって、それとハッピーな気持ちは両立する」という想像から、もう一度シーンをやってみることになりました。
2回目は和田さんの提案で、背中合わせになりお互いに見えない状態で同じシーンが行われました。
すると、先ほどよりも妊娠の不安が垣間見えるようになりました。出演者同士もアイコンタクトが行えず、背中で相手の様子をうかがわなければならないためかもしれません。
誰も体験したことのない妊娠・出産について、和田さんや出演者のみなさんでああだこうだと話しつつ、演じたり・演出したりと繰り返し試されていきます。制作室の明るい雰囲気の中で、テーマに対して同じ立ち位置から意見を出し合い、稽古が進められていきました。
初演とは異なるメンバーの手で作られる今回の舞台。更に稽古を重ね、やんツーさんの美術も入り、改めてどのような舞台が出来上がるのか楽しみです。
公演は10月16日(土)13時から始まります。ぜひ京都芸術センターに足をお運びくださいませ!
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和田ながら×やんツー擬娩
10.16 (土) 13:00 / 17:00
10.17 (日) 13:00 / 17:00
上演時間☞90分(予定)
開場は開演の30分前
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