読み物

【インタビュー】ティアゴ・ロドリゲス(前編)

2026.9.30 (Wed)

Photo by Christophe Raynaud de Lage

Photo by Christophe Raynaud de Lage

10月3日からいよいよKYOTO EXPERIMENT 2026が開幕!
オープニングを飾る演目のひとつ、『By Heart—心で覚える』を手がけるティアゴ・ロドリゲスのインタビューをアヴィニョン演劇祭のウェブサイトより抜粋してご紹介します。
前編では、『By Heart—心で覚える』の創作の経緯や、幼少期から強い絆で結ばれていた祖母との思い出について語っています。
そして、視力を失いつつあった祖母から託されたある課題が、どのように作品へとつながったのかにも触れています。
ぜひご一読ください!


2013年の初演以来、『By Heart—心で覚える』は世界中で上演されています。創作の経緯を教えていただけますか?

はじまりは自伝的、あるいは家系的なものでした。ポルトガルでの幼年期から、私には祖母との強いつながりが常にありました。それは、ふたりに共通する本と読書への愛にあらわれていました。祖母は自分が年齢とともに視力を失いつつあることを知り、私に課題を出しました。完全に視力を失う前に、祖母がすべてを空で覚えられる本を見つけるようにというのです。祖母からこのことを聞いたとき、私もまたその本に関わることになるだろうと思いました。どのような形になるかはわかりませんでしたが、俳優の仕事についての問いかけや読むことへの愛という点において私の演劇へのアプローチの本質を何かしら表現しており、私の人生において大切なものになるだろうという直感がありました。

『By Heart—心で覚える』では、異なる時代や地域の作家たちと並んで、お祖母さまが中心的な役割を担われています。

祖母はへんぴな村で生まれ育ち、知の世界とは無縁でした。ある意味で二重に隔離された場所であり、その村で私は幼年期を過ごしました。観客に詩を覚えてもらうことで、祖母の振る舞いや声を永く記憶にとどめられないかと考えています。祖母が村を離れたのは人生で2回だけでした。でもこの作品が生まれてから3 0 0回近くにおよぶ公演を通して、彼女の物語は複数の大陸に届けられました。初演の頃は、まだ祖母は元気でした。祖母が亡くなった夜、私はフランスにいました。ツアーを中止することも考えましたが、まだ数カ所での上演が残っていました。マドリードに向かいながら、もはや上演することに意味はない、むしろ上演することは乱暴なことなのではと考えていました。しかし、祖母が本を読むということの何か、それへの忠実な愛情が残ったのです。この作品は、私と祖母の間にある愛を表すものとなりました。今はかつてほど頻繁に上演しなくなりましたが、演じるたびに祖母の存在、そしてこの作品が変わらず観客に響くことを感じています。

(後編に続く)

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